「ヤクルト」をまねた乳酸菌飲料約20種類のうち、主に持ち帰り・配達弁当のおまけとして付けられる「優安蜜」から発がん性のある防腐剤、デヒドロ酢酸が検出された。問題の商品は既に自主回収されたが、過去8年で毎月150万本が生産され、約15億本が消費された計算となる。行政院衛生署は14日、各県市の衛生局に乳酸菌飲料のサンプル検査を指示した。違法商品は直ちに処罰し、店頭からの撤去を求める。15日付蘋果日報などが報じた。
問題の「優安蜜」の生産ラインは既に止められたが、同社冷凍庫には3万本以上の在庫が残っている(14日=中央社)
苗栗県の昌乳食品が製造する「優安蜜」は今回、1キログラム当たりでデヒドロ酢酸が0.064グラム検出された。苗栗県衛生局の葉雲城副局長によると、昨年12月および今年3月に同社商品を検査したところ、デヒドロ酢酸が検出され、罰金7万台湾元(約19万円)を科して改善を求めた。ただ先月29日の検査では合格だったという。
昌乳食品の責任者、毛成緯氏は、調達した原料に問題の防腐剤が入っていたと考えられるため、既に原料調達先を変えたと強調した。なお、昌乳食品に8年間生産ラインを貸していた将軍鮮乳工場(同県)は今年2月、同社との契約を解約している。
衛生署食品衛生処によると、デヒドロ酢酸は防腐剤の一種で、バターやマーガリン、チーズなどへの使用は可能だが、乳酸菌飲料への添加は認められていない。林口長庚医院臨床毒物科の林杰リョウ主任(リョウはきへんに梁)は、「デヒドロ酢酸は毒性が強い。肝臓や腎臓に負担をかけ、発がんリスクもある」と指摘した上で、工場が商品の保存期間を延ばすために、違法に添加したのではと推測した。
乳酸菌量、大部分が基準以下
今回の問題が発覚したのは、安親班(託児所)に勤める女性が今年5~6月、配達される弁当に付いている乳酸菌飲料を飲んだ子どもたちが相次いで吐き気や頭痛を訴えたことに疑問を持ち、乳酸菌飲料11種を自費で検査に送ったことから始まった。
女性および週刊誌「壱週刊」がサンプル送付した検査結果では、防腐剤の添加に加え、多くの商品が1グラム(または1ミリリットル)に乳酸菌100万個以上という国家標準(CNS)を満たしていないことが明らかになった。検査対象となった14種類のうち基準を満たしていたのは、▽養楽多(台湾ヤクルト)、乳酸菌15億個▽好運多多(昌桔食品)、8億7,000個▽宝多(宝閎)、660万個▽津津(楊格食品工業)、100万個──とわずか4種類だった。
ヤクルトのブランド価値悪用
台湾では、ヤクルト(販売価格8元)から統一多多など大手メーカー製品、安値の製品(2~3元)まで、乳酸菌飲料と銘打つ商品が1日当たり50万本流通しているとみられる。安値の製品はほとんどが本家ヤクルトと極似したパッケージを使い、名前も「可可多」「愛露多」「麦可多」など「養楽多」に似せて、ヤクルトのブランド価値を悪用している。
台湾ヤクルトはワイズニュースの取材に対し、「ヤクルトは衛生署の『健康食品』の認証を受けた唯一の乳酸菌飲料で、安心して飲んでもらえる。ヤクルトをまねた商品が7~8年前から市場に出回っているが、これを機に消費者の認識が改められることを期待する」とコメントした。