マルチタッチ機能が標準対応となる、マイクロソフト(MS)の次期基本ソフト(OS)、ウインドウズセブン(Windows7)の新たな商機をつかむべく、パソコン2大ブランドが相次いで対応製品を投入する。Windows7の台湾発売日となる23日、最大手、宏碁(エイサー)は同機能を備えたオールインワン(モニター一体型、AIO)および液晶モニターを同時発売する。華碩電脳(ASUS)も、同機能搭載の低価格ノートパソコン(ネットブック)発売する。19日付経済日報が報じた。
エイサーのマルチタッチ機能対応オールインワンPC「Aspire Z5610」(エイサー提供)
マルチタッチはマウスに取って替わる
モニターを複数の指やペンなどで触れることによってPCを操作するマルチタッチ機能は、MS創業者、ビル・ゲイツ氏も「今後キーボードやマウスに取って替わる」と指摘するなど将来性が高く評価されている。現時点ではタッチパネルを備えたPCは高価格で、同機能に未対応のソフトウエアも多く、まだ萌芽段階と言える。しかしエイサーは一体型PC、ASUSはノートPCへの応用を好感し、それぞれの製品で商機獲得を模索している。
エイサーがWindows7と同時発売するマルチタッチ機能対応のオールインワンPC「Aspire Z5610」は、23インチ型の大型タッチパネルを備える。生産は広達電脳(クアンタ・コンピュータ)が請負ったもようだ。また、同社はタッチスクリーン機能を備えた液晶モニターも合わせて発売する。ジャンフランコ・ランチ執行長(CEO)は先週、「タッチ機能搭載PCは、当社の今後1年の重点機種となり、新製品を相次いで発売する」と予告している。
一方ASUSは、既に発売済みのタッチパネル搭載ネットブック「Eee PC T91」を、従来のシングルタッチ対応からマルチタッチ対応にアップグレードさせる。同製品は同社にとって初のマルチタッチ対応PCとなる。
MSのCEOが11月来台
MSはPCの重要ブランド・受託製造メーカーが集積する台湾を重視しており、Windows7発売に合わせ11月4日にスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)が訪台して宣伝キャンペーンを行うほか、滞在中にクアンタ、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)など受託大手の幹部と会う予定とされ、新OSの普及に向けて協力関係を強化したい考えとみられる。
買い替えブーム到来は不透明
MSの前世代OS「ビスタ(Vista)」はユーザーから低い評価を受けてシェアが伸びず、需要増を期待して大幅な生産能力拡充を行ったDRAMで深刻な供給過剰を招くなど、ハイテク業界にも大きな傷跡を残した。それだけにハイテク業界では、今回のWindows7を機に「PC買い替えブーム」が巻き起こることへの期待が大きい。
しかし経済日報は、一般消費者市場について言えば、Windows7はハードウエアにそれほど高性能を要求しないため、PCを買い替える必要性は高くなく、「買い替えブーム」が起きるかどうかは観察が必要と指摘している。
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