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作成日:2009年10月20日_記事番号:T00018656
台湾土産の中身は覚せい剤、日本人密売人がお縄

日本人が好む台湾土産の定番といえば、パイナップルケーキやお茶。台湾観光を終え、帰国の途につく日本人観光客なら誰もが、一つや二つは携えているはずだ。そこに目を付けたのが、日本の麻薬密売人。自ら観光客に成り済まし、台湾土産の中身を覚せい剤にすり替えて日本へ運ぶことを思いついた。
行政院海岸巡防署(海巡署)台南県機動査緝隊は日本の警視庁からこの情報をキャッチ。警察は台北市万華区昆明街で、山口組稲川会の暴力団員、田島長行容疑者(57)と川口雅史容疑者(47)を逮捕し、覚せい剤アンフェタミン2キロ(末端価格約2,000万台湾元)を押収した。
警察によると、両容疑者は約300万元で台湾人男性からアンフェタミンを購入。台湾土産として購入したパイナップルケーキ、お茶、ようかんの中身を取り出してアンフェタミンと交換し、プレスマシーンで元通りに包装し直した。税関で怪しまれないよう、本物の土産物と同じ重さにする念の入れようだった。
田島容疑者は3カ月ほど前に訪台し、土産物とアンフェタミンの購入および包装を担当。「運び屋」の川口容疑者は税関職員の検査をテストするため、本物の台湾土産を持って日台間を2~3往復。問題なしと判断し、そろそろアンフェタミンを日本へ「出荷」しようと考えていたところをお縄となった。
日本では、タレントの酒井法子容疑者による覚せい剤取締法違反事件を契機に警視庁が薬物取締りを強化しており、日本国内での供給不足が深刻化。このため、従来供給源となっていた中国や北朝鮮ではなく、台湾からの密輸が企てられたとみられる。
台湾はもともとアンフェタミンの製造拠点だったが、その後製造工場が中国などへと移り、台湾は密輸ルートの中継地に。ところが近年、中国での薬物取締りが厳しくなったことから台湾での製造が復活。風邪薬からアンフェタミンを精製する工場がここ2年で50カ所以上摘発されているという。