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作成日:2009年10月21日_記事番号:T00018686
タクシードライバー、口論した乗客はね殺す

大台北地区(台北県市、基隆市)で6,000台の保有車両数を誇る台湾大車隊は、1日延べ25万人が利用するタクシー業者最大手。その台湾大車隊のタクシードライバーが、車内での言い争いがもとで、乗客をはねて殺すというとんでもない事件が発生した。
加害者の林淵晟容疑者(39)は、今年3月に台湾大車隊に加入したばかりのタクシードライバー。被害者の杜讃修さん(50)は台北市の電器店経営者だった。
19日夜、台北県汐止市の友人宅で酒を飲んだ杜さんは、仲間とタクシーに相乗りして帰宅の途に。先に降りた友人によると、別れ際に「体は大丈夫か?タクシー代はあるか?」と杜さんに尋ねると、「大丈夫だ」と答え台北市内の自宅へ向かったという。
目撃者と監視モニターの録画によると、タクシーは20日午前1時ごろ、八徳路三段で突然止まり、激怒した様子の杜さんが下車。10秒ほど罵倒してドアを閉めた後、車の前に回ってさらに2度大声で怒鳴りつけた上、林容疑者を1分間ほどにらみつけたという。
林容疑者は、杜さんから離れるようにタクシーをゆっくりバックさせて停車。杜さんがひとしきり怒鳴った後、背を向けて立ち去ると、杜さん目がけて発車した。後ろから激突された杜さんは数メートルはね飛ばされ、道端の車にぶつかった後、歩道に倒れた。
林容疑者はすぐ現場から逃走したが、午前1時46分、「どうしていいか分からない。車内で口論になったんだ」と自ら台北県警に通報。警察は出頭を勧めたが、電話を切ったまま行方不明になった。
杜さんは病院に運ばれたが、頭部に重傷を負い、出血多量で帰らぬ人となった。隣人によると、杜さんは普段口数は少ないが、酒を飲むと政治談義に熱中しがちで、よく口論になっていたようだ。
この事件は、台湾大車隊にとって、会社設立以来7年をかけて築いてきた「安全、快適」のイメージを一挙に崩す大打撃となった。同社ドライバーも「ただでさえ景気が悪い中、影響は大きい」と頭を抱えている。