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力晶が意外な提案、フラッシュ会社への政府出資求める


ニュース 電子 作成日:2009年10月21日_記事番号:T00018714

力晶が意外な提案、フラッシュ会社への政府出資求める

 
 DRAM業界の再編に向けたメーカーへの資金支援計画「DRAM産業再生プラン」の申請締切日の20日、力晶半導体がフラッシュメモリメーカー、台湾快閃記憶体公司(Taiwan Flash Company=TFC)を立ち上げて、同社への政府出資を求める内容の申請を行った。政府の当初構想とは大きく異なる意外な逆提案だが、台湾メモリー産業の体質強化という点で合理性があり、政府の反応が注目される。21日付経済日報が報じた。
 
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 力晶の黄崇仁董事長は、TFC設立のメリットとして、▽台湾の独自技術で運営できる▽NAND型フラッシュメモリーの製造により、DRAM各社の生産能力を吸収でき、DRAM景気が悪化した際の対応力が高まる──などを挙げた。

 黄董事長によると、力晶は2003年にルネサステクノロジよりAG-ANDフラッシュの技術移転を受けており、自社で90ナノメートル製造プロセス以降の技術開発を進め、現在500人規模の研究開発(R&D)チームを擁し、445項目の特許を有するに至った。すべて自前の技術であるためTFCには技術移転や権利金などの問題は発生しない上、経済部の掲げる「台湾への技術定着」の条件に合致する。

 また、NANDフラッシュはDRAMと生産設備の相互転換が可能で、台湾創新記憶体(TIMC)が最初に生産を目指すモバイルメモリーより需要が大きく、他のDRAMメーカーはTFCに参加することでDRAM生産設備を活用でき、業界統合という経済部の最終目標にも有益だと指摘した。

 TFCの設立に必要な資金は200億台湾元(約560億円)で、2段階で集める計画だ。第1段階の100億元のうち、政府には45億元の出資を求め、残りの55億元、および第2段階の100億元は民間から出資を募る。既に海外の複数の大手メーカーが出資に関心を示しているという。

経済部は否定的
 
 力晶の提案に対して業界からは、「DRAMの生産能力をフラッシュ製造で消化できれば、需給状況に振り回され続ける長年の問題の改善に役立つ」と評価する声が上がっている。 

 ただ、経済部のある官僚は「産業再生プランは『DRAM』と明示しており、同じメモリーといえどフラッシュは分野が違う」と語り、根本的に申請条件を満たしていないと否定的な見解を示した。経済部がこれを理由に却下するのか、また、その場合でもアイデアを台湾メモリー産業の競争力強化に向けて活用する考えがあるのか注目される。

南科科とイノテラ、申請見送る
 
 なお、台塑集団(台湾プラスチックグループ)の南亜科技と華亜科技(イノテラ・メモリーズ)はDRAM産業再生プランへの申請を見送った。結局、申請を行ったのは、TIMCと力晶の2社だった。

 南科科とイノテラは「業界の統合・再編の最良のタイミングは既に過ぎた」という共同声明を発表した。台プラ幹部は「われわれは独自の道を行く。外部環境によって判断を変えることはない」と語った。
 
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