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作成日:2009年10月23日_記事番号:T00018745
空揚げ・臭豆腐が「臭過ぎる」、罰金処分に行き過ぎ批判
台湾ならどこでも見かける、人気の臭豆腐やフライドチキンの屋台。しかし、そこから漂うにおいを「良い香り」と感じるか、「臭い」と感じるかは人それぞれで、台北県環境保護局(環保局)の調査員にとっては後者だったようだ。
昨年12月、30万台湾元でフランチャイズチェーンに加盟し、台北県板橋市で台湾式フライドチキン店をオープンした鄭さんは、開店当初から静電処理機を本店から購入して設置し、油煙を回収処理していた。しかし開店して1カ月もたたないうちに台北県環境保護局(環保局)の調査員がやって来て、油煙を改善するよう要求された。
そこで鄭さんは、業者に依頼して油煙が最も出なくなるよう静電処理機を設置しなおし、定期的な掃除も怠らなかった。
ところが、今年3月に再び訪れた環保局の調査員は、店の前に並んでいたお客が5人とも「油煙のにおいはしない」と答えたにもかかわらず、「油煙はまだ完全に処理されていない」と認定。鄭さんに10万台湾元の罰金を科した。
納得がいかないのは鄭さん。「分析儀器による測定ならともかく、お役人の嗅覚で大気汚染を判断するのは主観的すぎ」と憤まんやるかたなしだ。
同様の苦境に直面した新荘市の臭豆腐業者とともに県政府に陳情したものの、退けられた。大気汚染防止法は石油化学産業などの工場を対象とすべき、と語る林国春台北県議員は、「飲食業者を罰するのは弱い者いじめ」と環保局を批判している。
ちなみに台北県環保局に寄せられる「大気汚染防止法」違反の告発は毎月約3,000件。そのうち、フライドチキンや臭豆腐などの飲食業者に対するものは500~600件にも上る。
油煙や臭豆腐が「臭い」という人は多いだろう。しかし台中市では、パン屋から漂う焼き上がったパンの香ばしいにおいが「異臭」として認められ、10万元の罰金が科せられたケースも。個人差の大きい「におい」の問題を、鼻だけで「大気汚染」と判断されては飲食業者もたまらない。