「液晶パネル業界に黄金期がやってくる」。友達光電(AUO)の陳来助総経理は22日、▽3次元(3D)映像▽タッチパネル▽電子ペーパー▽発光ダイオード(LED)▽有機発光ダイオード(OLED)──など新技術の成熟に伴い、世界のディスプレイ産業は今後3年間、必ず爆発的に伸びるとの見方を示した。AUOは金融危機で打撃を受けたものの第3四半期に黒字転換を果たしており、今後の躍進には強い自信を見せた。23日付工商時報が報じた。
陳来助総経理。AUOの予測では、ノートPCおよび液晶テレビの世界市場は来年約20%成長する見通しだ(22日=中央社)
陳総経理は、新技術の応用例として、2012年のロンドン五輪での3D映像配信や、ディズニーなどの3D映画を挙げ、家庭での3D利用が進むことでパネル需要が刺激されると指摘した。また、既に市場に出ているタッチパネル搭載パソコンやLEDバックライト搭載液晶テレビなどに加え、商品化から10年以上たったOLEDも今後、応用製品が大幅に増えることを好材料として挙げた。
電子ペーパーについては、「2010年が元年となり、11年に爆発的な成長が起こる」という予測を示した。応用製品は電子ブックリーダーにとどまらず、電子タグ(ICタグ)、公共ディスプレイなど数百種類以上ある上、プラスチック基板の開発で実現する曲げられる電子ペーパーによって、市場がさらに大きく広がると指摘。これらはすべて薄膜トランジスタ(TFT)駆動技術が必要になると語り、パネル業界への貢献に期待を示した。
その上で、昨年下半期のパネル価格下落や金融危機による打撃からほぼ脱した現状について「昨年は台風が吹き荒れていたが、今年は季節風が吹いている」と表現し、「今後のパネル景気は季節変動どおり、第1~3四半期に前期比での成長が見込める」と楽観的な見通しを示した。
Q4出荷は微減予測
AUOの22日発表によると、第3四半期の純利益は74億2,000万台湾元(約210億円)で、昨年第4四半期以降の赤字脱出を果たした。年初以降のパネル価格上昇および出荷拡大が実を結んだ形だが、証券各社が予測していた80億~100億元の水準には届かなかった。連結売上高は前期比35%増の1,112億4,300万元、粗利益率は11.7%だった。
彭双浪執行副総経理は、中国で10月初旬の国慶節連休中、液晶テレビが37、42インチ機種で在庫切れになるほどよく売れ、販売台数は前年同期比120%増の260万台に上ったと指摘した。このため、クリスマスシーズンや春節(旧正月)も好調な販売が続くと期待でき、パネルのオフシーズンに当たる第4四半期も出荷はそれほど落ち込まず、来年第1四半期も同水準になるとの見方だ。さらに、韓国サムスン電子やLGエレクトロニクスがコスト抑制を目的に、AUOからの調達を拡大していることも好材料として挙げた。
新8.5世代工場、来年に設備搬入
AUOは同日、景気先行きが楽観できるとして、来年下半期に2基目となる第8.5世代工場で設備搬入を行うと表明した。既存の8.5世代工場(月産能力・ガラス基板投入枚数ベースで4万枚)も年内にフル稼働させ、7.5世代工場では年内に3万枚、来年さらに3万枚の生産能力拡張を計画している。
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