台湾が実効支配する金門島の古寧頭一帯に中国軍が上陸し、激戦を繰り広げた1949年10月の古寧頭戦役(中国名・金門戦役)から60年目を迎えた25日、現地を訪れた日本人がいた。中国時報が24日報じた。
古寧頭の北山古洋楼は上陸した人民解放軍が部隊の指揮の拠点とした。今も多くの弾痕が残る重要史跡となっている(24日=中央社)
現地を訪れたのは、古寧頭戦役に参戦して作戦指導に当たった旧日本軍の根本博中将の部下の息子に当たる吉村勝行さん(76)と彼らの台湾への密航を手助けした第7代台湾総督、明石元二郎の孫に当たる明石元紹さん(76)ら。一行は外国人として初めて、古寧頭戦役の記念行事に参加した。
明石さんは「国共内戦の戦況が急を告げ、父親の明石元長・貴族院議員は台湾が中共の手に落ちることなどあってはならないと、根本中将らをバナナ貿易船に乗せ、米占領軍の耳目を避け、九州から台湾に密航させた」と当時の状況を説明した。
吉村さんは、「父は根本中将の秘書を務めていた。根本中将は当時、国民党軍不利と見るや、金門島に後退し、立て直しを図ることを勧めた。根本中将の子孫は高齢で、わたしに金門島訪問を託した」と語った。
馬総統、中台和解を呼び掛け
馬英九総統は同日、古寧頭戦役60周年記念行事で、「この戦いは現代中国の歴史を書き換え、両岸(中台)が60年にわたり分断統治される歴史を生んだ。今後は最大の誠意をもって両岸間の恨みや対立を和らげ、殺りくを起こさず、平和を永遠のものとしていく」と強調した。