韓国大手紙・朝鮮日報は1日付の「Chaiwan企業が来る」という特集記事で、「台湾では研究開発(R&D)に特化、生産は中国」という、中台の双方の強みを生かしている台湾企業を「Chaiwan(China+Taiwan)企業」と定義した上で、優れたコスト管理と柔軟な受注対応、高品質の製品によって、「まさに韓国を追い越そうとしている」と危機感を伝えた。
朝鮮日報によると、Chaiwan企業はOEM(相手先ブランドによる生産)、ODM(相手先ブランドで設計から製造までを担当)中心の「顔のない強者」で、売上高は年間数十兆ウォン(数兆円)、利益率は5~6%、生産品は米アップルのiPod、iPhone、ソニーのプレイステーション3、インテルのチップなど、あらゆる最新ハイテク製品に及ぶ。
韓国の最大のIT(情報技術)企業であるサムスン電子にとって、携帯電話のライバルであるノキア、モトローラの製品はほとんど鴻海精密工業が生産しており、液晶パネルは鴻海集団などが、半導体は台湾積体電路製造(TSMC)がその市場を狙っている。 韓国企業も中国など新興市場でアウトソーシングを行っているが、Chaiwan企業のコスト構造は韓国が対応可能な範囲をすでに超えている。「必要な時、必要な単価で」調達を行う、台湾企業特有の「ソーシング・ネットワーク」が中台間にクモの巣のように張られたためだ。
代表的な例がアップルのiPodで、当初韓国メーカーにも受注の打診が来たが、単価が低いためどの企業も断った。しかし、台湾企業は対応した。独自のノウハウで低い単価に対応できる中国工場と協力業者があるためだ。品質管理も優れており、iPhoneのスマートな納期処理はまさに鴻海の「傑作」といえる。
KOTRA台北貿易館の玉英宰(オク・ヨンジェ)館長は、「台湾企業には受注の際、『量を尋ねない』『単価当たりの利益を尋ねない』『納期を尋ねない』の『3つのない』がある」と語る。それだけ柔軟に受注に対応するということだ。
「100大IT企業」で大差
朝鮮日報はまた、「韓国企業はChaiwan企業に対し、ブランドと一部の核心技術でほんの少しリードしているだけだ」と指摘する。今年『ビジネスウイーク』誌が成長率で選んだ世界100大IT企業に、台湾は14社選ばれたが、韓国はハイニクス半導体の1社だけだったという。
LG経済研究所の羅俊浩(ナ・ジュンホ)研究員は、「台湾企業の成長は、復活の翼を広げた日本よりも収益・成長面ですべて一枚上」と語る。「世界最高のコスト競争力と生産技術を持つChaiwan企業の目標は、もう韓国など超えている」と述べ、韓国企業は今後さらに手厳しい競争にさらされるという見通しを示した。