ニュース 社会 作成日:2009年11月6日_記事番号:T00019041
人々が寝静まった深夜の時間帯、台北市内を農薬散布車が走る。80センチの大口径からまき散らされるのは、酸性雨ならぬ「農薬雨」だ。市内の街路樹は2週間ごとにこの農薬雨の洗礼を受ける。しかし農薬は街路樹だけでなく、木の下の屋台にも、路上に駐車中の車やバイクにも、窓を開け放した部屋の中にも容赦なく降り注ぐ。
午前1~5時に農薬を散布していることも、その農薬が毒性の強い使用禁止農薬だということも、13年以上前から実施していることも、台北市政府は市民に知らせていない。
従って、市民は何も知らずに猛毒の農薬に汚染された車やバイクに触れ、農薬のかかった屋台の食べ物を食べ、農薬が含まれた空気を呼吸していたというわけだ。
5日にこの事実を暴露した劉耀仁、荘瑞雄の両台北市議は、「これは殺虫ではなく殺人ではないのか」と激しく批判。郝龍斌市長は「猛毒農薬の使用は不適切、検討が必要だ」と認め、責任を追及する考えを示した。
農薬散布を担当する公園処は、これらの猛毒農薬の使用を即中止し、毒性の低い農薬に変えると発表。今後は散布1カ月前に各区役所に通知し、3日前に公告、前日にメディアを通じてアナウンスし、市民に注意を呼び掛けるという。
ちなみに、散布されていた農薬のうち「カルボフラン」は、販売、使用とも1999年に禁止されている。08年末に輸入、販売、使用が禁じられた「メチダチオン」は、発がん性があるほか、皮膚や呼吸道、目などから吸収されやすく、中毒を起こすとアレルギーや呼吸困難、意識不明などを引き起こし、死に至るケースも。殺虫剤「ジメトエート」は、妊婦に奇形児が産まれる可能性を生むという。散布係が防毒マスクと防毒着を身に付けた完全防備だというのもうなずける。
それにしても、郝龍斌台北市長が台湾大学農業化学学科卒業というのは、皮肉なものだ。
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