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TIMC計画、中止決定的に


ニュース 電子 作成日:2009年11月12日_記事番号:T00019192

TIMC計画、中止決定的に

 
 立法院経済委員会は11日、DRAM産業再生を目的に設立された台湾創新記憶体(TIMC)への政府出資を不適切とし、DRAMメーカーへの資金支援計画「DRAM産業再生プラン」の推進停止を要求する決議を行った。これを受け、施顔祥経済部長はTIMCへの出資は当面見合わせると発言。宣明智TIMC董事長も「政府出資が得られないなら、計画は進められない」とコメントした。1年にわたり注目を集めてきた政府のDRAM再生計画は、何の成果も上げないまま終えんを迎えることが決定的となった。12日付経済日報などが報じた。
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宣明智TIMC董事長は、同社への出資見合わせについて、「背後の理由は分からないが、政府の決定が正しいものであることを希望する」と語った(11日=中央社)

 立法院での決議は、経済部が10日、TIMC提出の計画書が「再生プラン」の審査を通過したことを明らかにし、行政院国家発展基金(国発基金)による出資への立法院の同意取り付けを目指すと表明したことを受けてのもの。TIMCへの出資を「公費の無駄遣い」とする同決議は行政院に対する拘束力を持ち、経済部が来週にも行政院に報告を行った上で改めて政策決定がなされる見通しだ。

 黄重球経済部次長は「行政院が計画の続行を決めれば、今後も立法院との折衝を続ける」としているが、ある立法委員によると、DRAM産業への政府による資金支援計画に対しては、世論、与野党ともに反対一色で、立法院の同意を得ることは非常に難しい情勢だ。

背後に台プラの動き?

 経済部は「再生プラン」の審査業務の一時停止も表明したが、これに対し台塑集団(台湾プラスチックグループ)傘下のDRAMメーカー、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)の高啓全総経理は「適切な決定だ。政府が企業の問題は企業自身で解決させると決めたことは喜ばしい」と歓迎の意を示した。同日付電子時報は、与野党が一致して同計画に反対を表明する背景には、与野党立法委員との密接な関係を持つ台プラが、今後ライバル関係となるTIMCを封殺するために手を回したという業界関係者の見方も伝えている。

 DRAM再生プランの行き詰まりに対しては各界から強い批判が噴出しているが、電子時報は「政府は1銭の税金も使わずにDRAM各社の自助努力を促し、1社も倒産させなかった」と指摘し、「TIMCが破局したとしても、政策が完全に失敗だったとは言えない」と一定の評価を下した。

「台湾の信頼を損なう」

 ただTIMCが技術パートナーに決定したエルピーダメモリは、日本政府から公的支援を受けるに当たって提出した計画書に、同社再建に必要とされる資金のうち200億円をTIMCからの出資で獲得するとしている。DRAM産業再生計画の政策決定にかかわったある政府関係者は、「もしTIMC計画を中止すれば、日本政府に説明できず、台湾は信頼を失う恐れがある」と指摘した。