中華電信(CHT)は12日、携帯電話キャリア世界最大手、英ボーダフォンとの戦略提携を発表した。12月から国際ローミングサービス料金を引き下げるほか、今後「ボーダフォン・CHT」のダブルブランド製品の投入や、グローバル企業の顧客開拓、共同調達などで協力が見込まれる。中華電信はボーダフォンを筆頭とする世界最大の携帯電話事業者連合への加盟を契機に、ローミングなど国際サービスの充実を図る。13日付経済日報などが報じた。
呂学錦・中華電信董事長(左)とリチャード・ダリー・ボーダフォンCEO(右)。提携発表会では地球儀に両社の旗を立てた(中華電信提供)
呂学錦・中華電信董事長によると、同社は12月1日から欧州や豪州、ニュージーランドなど17カ国で国際ローミングサービス料金を30%以上引き下げる。例えば、英国から台湾への通話は1秒当たり1台湾元(約2.8円、現行1.4元)、メール送信は1通当たり7元(同10元)と安くなる。アジアでもボーダフォンの携帯事業者連合に加盟する7カ国のキャリアと、ローミング料金引き下げを協議する構えだ。
呂董事長は、同連合の法人顧客は現在270社以上、来年には500社に増える見通しだと指摘し、海外企業の顧客開拓を積極的に進める意欲も示した。ボーダフォンがグローバル企業から獲得した契約に対し、台湾で現地キャリアとしてサービスを提供する形態を想定しているとみられる。
同連合の加盟キャリアは60社余りで、擁するユーザーは計5億件に上るため、端末の調達件数も膨大だ。呂董事長は、将来的にボーダフォンとの共同調達も想定され、その場合、携帯電話端末のほか、低価格ノートパソコン(ネットブック)、電子ブックリーダー、インターネットカードなどを供給する台湾メーカーも大きな恩恵を受けると語った。なお、中華電信とボーダフォンの双方に携帯電話を提供している宏達国際電子(HTC)は、今回の提携で最も恩恵を受けるとみられる。
出資計画はなし=ボーダフォン
中華電信との戦略提携締結のため来台したボーダフォン・パートナー市場部門のリチャード・ダリー最高経営責任者(CEO)は、今後、中華電信以外の台湾の通信キャリアと提携することはないと表明した。なお、ボーダフォンブランドの台湾市場進出は初めてで、アジア市場での展開拡大の踏み台としたい狙いがあるとみられている。
ボーダフォンは、欧州、南米、香港などの通信キャリア30社以上に出資しており、ユーザー数は3億件に上る。中国の携帯最大手キャリア、中国移動通信(チャイナ・モバイル)にも2~3%を出資を行っている。ただ、ダリーCEOは、現時点では中華電信に対する出資計画はないと明言した。
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