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作成日:2009年11月16日_記事番号:T00019225
第7代台湾総督の鳥居、12年ぶりに「里帰り」へ
神社や住宅など日本統治時代の遺物は台湾各地に残されているが、このほど移転後12年間も忘れられていた鳥居の存在がクローズアップされ、元の場所へ「里帰り」できる運びとなった。
台北市中山区にある林森公園(中山14号公園、2003年完成)および康楽公園(中山15号公園、02年完成)は、日本統治時代の日本人共同墓地(三板橋墓地)跡地に建設されている。
日本統治時代、ここには明石元二郎第7代台湾総督と、乃木希典第3代台湾総督の母、乃木寿子さんのお墓があり、墓園前にはそれぞれ大小の「神明(しんめい)鳥居※」が建てられていた。
ところが戦後、墓地には違法建築のバラックや市場が立ち並び、鳥居は建物の一部として利用されるありさまに。その後、台北市政府が公園としての再開発を決定したことから97年、2基の鳥居は台北228和平公園へ一時的に移され、公園完成後に元の場所へ戻されることになった。
しかし公園が完成して既に6、7年もたつというのに、鳥居はまだそのまま。すっかり忘れられた存在になっていた。08年にやっと設置された解説碑の内容も、史実、年代が間違いだらけで、鳥居自体の保存状態も悪い。
地元住民からの陳情を受けた陳玉梅台北市議員は、歴史文物保護に対する台北市政府のなおざりな態度を批判すると同時に、即刻鳥居を公園に戻すよう呼び掛けた。
これに対して台北市政府は、1カ月以内に地元住民や専門家と設置場所などを協議し、文化局、公園処が共同で鳥居を移転安置する方針を示している。
これまでは、鳥居を探し当てることができずに失望して帰る日本人観光客も多かったというが、今後は新たな観光スポットとして一役買うことが期待される。
※柱や笠木(かさぎ)に「照り」「反り」と呼ばれる曲線を現す加工が施されない鳥居