鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の液晶パネルメーカー、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)による奇美電子(CMO)の合併が業界を揺るがす中、16日付経済日報は、群創、友達光電(AUO)、サムスン電子が、大同集団(TATUNG)傘下で精英電脳(ECS)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)などを顧客に持つ中堅パネルメーカー、中華映管(CPT)を次の合併対象として争奪戦を繰り広げることになるとの見方を伝えた。その後は瀚宇彩晶(ハンスター)も標的となり、業界再編がさらに進むとみている。
群創が優位か
アナリストによると、これまで台湾最大手を維持してきたAUOは、奇美電争奪戦に敗れたため「新奇美」に世界パネル市場でのシェアで抜かれる見通しとなり、今後、次善策として中華映管との戦略提携に乗り出さざるを得ないとみられる。
しかし、中華映管が所属する大同集団の許嘉成総財務長(CFO)は、今年初めまで群創で財務長を務めており、許氏が仲立ちとなって中華映管は第6世代工場を群創に売却するとの見方が市場で強まっている。群創は奇美電を合併したことで当面新たな生産能力が必要になるとは考えにくいが、競争相手を封殺するために早めに手を打つことも考えられる。ただ、中華映管広報は観測について15日、「そのような計画はない」と答えている。
このほか、中華映管の大口顧客であるサムスンが先週同社を視察に訪れており、合併に乗り出すのではないかとの憶測を呼んでいる。奇美集団の創業者、許文龍氏も14日の合併記者会見で「合併の意向を示した企業の中に韓国勢が含まれていた」と証言しており、韓国メーカーも台湾パネルメーカーの合併に強い関心を抱いていることが明らかとなっている。
経済日報は、サムスンとLGディスプレイ(LGD)は、現在世界パネル市場で1、2位を占めているが、中国市場での経験が長く、現地ブランドメーカーとの関係や人脈を豊富に持つ台湾メーカーを合併できれば、今後中国市場での展開に大きな効果を期待できると指摘した。
「新奇美」、中国市場で威力
市場調査会社、ディスプレイサーチによると、その中国テレビ向けパネル市場で今年第1~3四半期、奇美電の出荷枚数は780万枚に達し、シェアは32.37%と2位を大きく引き離してトップに立っている。2位はサムスンで21.99%(530万枚)、3位LGDで15.77%(380万枚)、AUOは4位で14.52%(350万枚)にとどまっている。
ディスプレイサーチは、来年中国は世界最大の液晶テレビ市場に成長する可能性があり、パネル調達枚数も倍増して世界の2割(4,800万枚)を占めると予測している。奇美電は来年も30%以上のトップシェアを維持する見通しだ。16日付工商時報は、ともに中国市場で有利に事業を展開する奇美電と鴻海が力を合わせれば、その相乗効果は強力なものとなると指摘している。
【表】