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中信金、南山人寿に30%出資で合意


ニュース 金融 作成日:2009年11月18日_記事番号:T00019312

中信金、南山人寿に30%出資で合意

 
 中国信託金融控股は17日、プリマス・フィナンシャル・ホールディングスと共同で南山人寿保険の買収を決めた香港上場のバッテリーメーカー、中策集団(チャイナ・ストラテジック)から、南山人寿の株式30%を取得することで覚書を結んだと発表した。南山人寿の売却入札で敗れた中信金にとっては経営参加への道が開かれ、プリマス・中策は台湾の大手金融持ち会社を引き入れることで買収認可を得やすくする「ダブルウィン」を狙ったものだが、中策には中国資本の疑念が依然残っており、行政院金融監督管理委員会(金管会)は慎重に審査を進める方針だ。18日付工商時報などが報じた。
 
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台湾大手の中信金は、南山従業員にとって見知らぬ香港資本よりも受容度が高いようだ。中信金は南山の名称を残す方針も示している(17日=中央社)  
 
 合意によると、中信金は金管会がプリマスと中策による南山人寿買収を認可した後、10日以内に中策に6億6,000万米ドルを支払って出資取引を完了する。実現すれば南山人寿への出資比率はプリマス5、中信金3、中策2の割合になる。南山人寿の董事長は中策が派遣し、執行長(CEO)は中信金から派遣する。

 中信金はまた、3年以内に持ち株を過半まで積み増して南山人寿への過半数の株式を取得し、経営権を握りたいとしている。

 中信金と中策は、中信金が1株17.74台湾元で25億株の現金増資を行い、中策が208億元(約578億円)で11億7,400万株(47%)を取得することでも合意した。これにより中策の中信金に対する出資比率は9.95%となる。手続きは来年第2四半期の完了を見込んでおり、実現すれば中信金は中策から董事1人を受け入れる見通しだ。

 なお、中信金は30%出資を実現させた時点で、金融控股法により南山が連結決算の対象となり、資産総額は約3,350億元と国泰金融控股に次ぐ2位となる。
 
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「突破的な展開」
 
 中信金は南山人寿の売却入札でプリマス・中策に敗れ、「入札価格はプリマスを上回っていた。入札プロセスに問題があった」などとして、南山の親会社である米AIGを提訴する可能性も示唆していた。このため、南山への資本参加の合意はいわば「逆転勝ち」で、辜濂松・中信金董事長は「突破的な展開だ」と歓迎の意向を示した。

 プリマス・中策による南山買収は、倍亜洲側の株主構成に関する説明が不十分だとして申請書類が金管会に差し戻されたことが16日明らかになったばかりで、プリマス・中策は中信金を引き入れることで「中国資本」の疑念を薄めることを狙ったという観測も出ている。

適格性を判断へ
 
 中策には中国屈指の富豪、張松橋・中渝置業主席が出資しており、この点が問題視されている。プリマスは10月中旬に「張氏は英国旅券を所持しており、中国が二重国籍を認めていない以上、英国人であって中国人ではない」と説明している。台湾は保険業への中国資本による投資を開放しておらず、中国資本が確認された場合、認可を受けられない可能性が指摘されている。

 中信金と中策の合意について金管会の盧廷劼主任秘書は17日、「南山の買収案件で疑問点が増えた」と語り、今後の審査で事情を詳しく聴く考えを示した。呉崇権・金管会保険局長も「南山人寿の売却と、中信金と中策の提携はそれぞれ別々に判断する」と述べ、最初にプリマス・中策が南山の買収において適格性が十分かどうか慎重に判断する姿勢を示した。
  
【図】