呉敦義行政院長は18日、経済日報のインタビューに対し、懸案となっている液晶パネルの対中投資規制の緩和について「年内に原則を明確にする」と発言した。最大手の友達光電(AUO)が第11世代工場の設置を予定するなど、台湾最大のパネル産業集積地として期待される中部科学工業園区(中科)第4期基地(彰化県二林鎮)の着工にめどが立ったことで、パネル産業は「台湾投資の優先」原則を満たすとして、開放を前向きに検討する構えだ。同紙が19日付で報じた。
中科4期の着工時期について呉行政院長は「いつでも可能」と語った上で、「選挙の印象操作との批判を避けるため、年末の県市長選挙後にしたい」との考えを示した。
呉行政院長は重要産業の中国投資開放について3点の条件を挙げた。第1に、外部に流出すれば台湾の利益を損なうような核心的技術を残すこと。第2に、中国で産業集積が形成されており、さらにその技術が世界的に見て独占的なものではなく、投資しなければ台湾が乗り遅れる場合。第3は、運営本部および研究開発(R&D)部門を台湾に残すこと──。その上で「企業の足を縛って台湾にとどめようとすれば、競争力の低下を招く」と語り、開放に向け積極的に検討を行う考えを示した。
ナフサプラント対中投資、「来年にも」
呉行政院長はまた、対中投資開放の原則として「まず台湾投資、その後に中国進出」と語った上で、石油化学業界からの要望が強い中国でのナフサ分解プラント設置についても、彰化県大城郷で国光石化科技(KPTC)が計画中の石化プラントが環境影響評価審査(第2段階)を通過して埋め立て工事に着工すれば、「遅からず政府はこれに応えることになる」と語り、来年にも大きな転機を迎えることになるとの認識を示した。
政府は中科4期開発、国光石化のプラントに加え、台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサ分解プラント(雲林県麦寮郷)第5期拡張計画を3大民間投資事業と位置付けているが、同計画は環境影響評価が依然審査を通過できず停滞している。しかし呉行政院長は、当初建設地点を麦寮郷としていた国光石化のプラントが彰化県に変更され、同じく同地に予定されていた台塑鋼鉄の製鉄所も構想が棚上げされたことを挙げ、「台プラ第6ナフサの汚染物排出割り当てに余裕ができる」と語り、環境問題は解決可能との見方を示した。
DRAM問題は朱副院長らに一任
またDRAM産業の再生を目指し経済部が進める「再生プラン」や同プランを通じた台湾創新記憶体(TIMC)への政府出資に対し、立法院経済委員会が先週中止を求める決議を行ったことついて呉行政院長は、「同問題は朱立倫行政副院長と尹啓銘政務委員(前経済部長)に対応を一任する」と語った。
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