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作成日:2009年11月23日_記事番号:T00019371
車道中央の泥酔男性、81台に無視され事故死

連鴻鑫さん(51)は20日、台北市内の友人宅で麻雀をした後、酩酊(めいてい)状態でタクシーに乗車し帰宅した。午後11時19分、南港区の自宅から約300メートルの所でタクシーを降りたものの、歩くことができずに歩道に座り込んでしまった。
20分ほどたったころ、連さんは突然千鳥足で道路へ。走行中の車を止めようとするかのように、両手を振りながら道の真ん中をウロウロ。バスや乗用車に向かって手を振ったが、どの車も連さんを避けて通り過ぎた。
連さんは、こんなふうに酔っぱらったまま約24分間も道路の真ん中をうろついた後、とうとうその場に倒れ込んでしまった。さらに悪いことに当時は雨で視界が非常に悪い状態で、連さんは約1分後に通りかかった乗用車にひかれて車体の下に挟まれ、救出された時に既に息はなかった。
駆け付けた妻によると連さんはふだん、コップ2杯でふらふらになるほどアルコールに弱かったという。妻は「きっと酔って道が分からなくなったのね」と涙を流し、加害者を責めるつもりはないと語った。
監視モニターに残された映像によると、連さんのそばを通り過ぎた車両は計81台。皆見て見ぬふりで救いの手を差し伸べる人はいなかった。もし誰かが通報していれば、この悲劇は起こらなかったかもしれず、社会の冷たさが連さんを死なせたとも言える。
社会心理学者によると、緊急の状況下では傍観者が多いほど、「誰か他の人が助けるだろう」という心理が働くとか。さらにこのご時世、手助けしても感謝されるとは限らず、事故を装った詐欺事件もよく聞かれる中、「面倒に巻き込まれるのはごめん」というのが大多数の本音かも。
連さんの事故死を聞いた人の多くは、「自分が通りかかっていたら、全く傍観するということはなく、少なくとも救助を求める電話くらいは掛けていた」と感想を語ったが、ある女性は「前後不覚になるまで酔った人はどんな行動を取るか分からないので、助けるのをためらう人が多いのではないか」と語った。現実は残念ながらその通りだった。