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活断層からわずか数キロ、第1・第2原発の安全性に疑問


ニュース 社会 作成日:2009年11月24日_記事番号:T00019400

活断層からわずか数キロ、第1・第2原発の安全性に疑問

 
 台湾全土には100本以上の断層があるが、経済部中央地質調査所の最新調査で、台湾電力の第1原子力発電所(台北県石門郷)と第2原子力発電所(同県万里郷)のすぐそばを活断層が通っていることが分かり、安全性を疑問視する声が上がっている。

 この活断層は、第二類活断層(過去10万年以内に活動した記録がある断層、現在14本)に属する「山脚断層」。台北盆地の西側、関渡、五股、泰山から樹林一帯に分布し、長さ20キロと考えられていた同断層は今回の調査で大屯火山や金山地区を経由し、東北海岸の外海まで50キロ以上に延びていることが判明した。

 このため、第1、第2原発は山脚断層からそれぞれ7キロと5キロの至近距離に位置しているという訳だ。ちなみに、これまで両原発の近くには「金山断層」があることが分かっていたが、この断層は活断層でなく、安全だとされていた。断層の長さと地震の規模は密接な関係がある。山脚断層の活動により、マグニチュード7規模の大地震が起こる可能性も指摘されている。

 ところが、台電は原発の目と鼻の先にこんな活断層があることを地元住民に伝えておらず、蔡蒼明万里郷長も、2基の原発の中間に位置する金山郷の黄文欽代表会主席も、山脚断層については「聞いたことがない」と語る。

 両原発の老朽化が進んでいることからも、「政府が人命を重視するなら、今すぐ操業停止すべき」「事故がないのは運が良いだけ」と警告する学者もいる。

 台電は「原発は建設時に防震規格を強化して設計しており、安全性は問題なし」と強調。6月に提出した評価リポートでは、「第1、第2原発は、金山断層でマグニチュード7.3の地震が起こることを想定して設計されている。金山断層と山脚断層は距離的にも近く、地震の影響もほぼ同じはずなので安全だ」としている。

 しかし、このリポートは不完全だとして、行政院原子能委員会から再評価が求められているらしい。本当に安全なのかは神のみぞ知るところだろう。

 なお、現在立法院で審議中の「地質法」が成立すれば、活断層の両側100メートル以内の土地開発には安全評価などが必要になるという。