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作成日:2009年12月1日_記事番号:T00019548
急速な温暖化、10年で0.44度上昇

行政院環境保護署が発表した台湾の気候変化に関するリポートによると、この30年間の平均気温は、10年ごとに0.23~0.4度上昇しており、急速な温暖化傾向が見られることが分かった。
同リポートは、環保署から委託を受けた台湾大学全球変遷研究センターと中華経済研究院がまとめたもので、1979~08年における10年ごとの気温の平均値を統計。気温の上昇幅は冬季が0.44度と最大で、春季が0.30度、秋季が0.24度、夏季が0.11度。四季のうち、冬季の温暖化が最も著しいことが明らかになった。
リポートによると、ここ100年来、大陸からの寒気流が南下して気温が摂氏10度を下回る「寒い日」は顕著に減少しているという。例えば台北市では、20世紀初めには年間約20日間あった寒波到来日数が、ここ数年は年間10日間以下と半減。こうした現象は山間部で最も著しく、日中の気温が摂氏10度を下回る日は、ここ60年来、10年ごとに18日間も減っている。
暖冬によって植物が受ける影響も大きい。標高3,000メートル級の合歓山に生息する台湾固有種の高山ツツジの開花時期は、10年前は7~8月だったが、ここ数年は5月ごろに。なんと2カ月以上も早まっている。
国立屏東科技大学森林系の陳朝圳教授によると、標高2,800~3,300メートルに分布する合歓山のニイタカトドマツは、年間0.46メートルのスピードで上方へと移動しているとか。中央研究院の周昌弘教授は、温暖化がこのまま続けば植物の分布はどんどん上方へ移動するだろうと予測。2100年に気温が3度上昇すれば、消えてしまう植物もいくつかあると語った。
将来、高山ツツジやタカネシオガマ、ニイタカマンネングサなどの台湾固有種が見られなくなる日が来るかもしれない。