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鈴木良幸・台湾ホンダ董事長兼総経理 インタビュー:「自動車市場は来年Q2に好転」


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2009年12月2日_記事番号:T00019606

鈴木良幸・台湾ホンダ董事長兼総経理 インタビュー:「自動車市場は来年Q2に好転」

 
 台湾自動車市場は1~11月の販売台数が前年同期比17.5%増の約25万台となり、昨年まで3年間続いていたマイナス成長に終止符を打った。しかし、来年の市場については、貨物税(物品税)減税措置が打ち切りになるため年明け以降急激な落ち込みに見舞われるのは確実で、見通しの立てにくい状況になっている。来年の市場展望と戦略について、台湾ホンダの鈴木良幸董事長兼総経理に話を聞いた。

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鈴木良幸・台湾ホンダ董事長兼総経理(YSN)
 
──ホンダは今年、着実にシェアを拡大しました。好調の要因はどこにありますか?

鈴木:台湾全土53拠点に広がった販売網が、「台湾ホンダ」の形で進出してから7年たってようやくうまく稼働するようになったことが最大の要因です。また、昨年10月のフィット投入によって、シビック、CR-V、フィットとノックダウンの3本柱がきっちり確立できたこと。さらに、貨物税減税措置が、ほとんどのモデルが2リットル以下で適用対象となった当社にとって大きな追い風になったことがあります。

 今年は10月までのトータルのシェアは約9.1%で、昨年、一昨年の水準をやや上回ったという感じです。

──貨物税減税措置が打ち切りになることで、来年の自動車市場には悲観的な意見も多く聞かれますが、どのようにみていますか?

鈴木:第1四半期は確かに落ち込むと思います。しかし、経済全体の状況を見ると、IT(情報技術)産業をはじめ確かに回復してきています。それゆえ、第2四半期以降は徐々に回復してきて、通年で今年の水準に近い25万~26万台はいくのではないかとみています。

──年明け以降は落ち込みが予想される中で、どのように販売を強化していきますか?

鈴木:宣伝の強化を一つの手段と考えています。最近、インターネット広告を強化するとともに、ホームページの改善を図りました。従来ディーラーのみで見られたモーターショーなどホンダの最新情報を盛り込んだ「ホンダチャンネル」をホームページで見れるようにしました。また、ホンダの季刊情報誌「ホンダマガジン」の発行を始めたことで、ブランドイメージの向上を含め、実際に効果を上げていると手応えを感じています。
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ホンダ フィット(台湾ホンダ提供)
 
フィット、顧客の評価で販売上昇

──現在、ホンダはフィットの宣伝を強化していますが、人気となっているトヨタのヤリス(日本名・ヴィッツ)に対抗することが意図ですか。

鈴木:形が似ているのでよく比較されますが、フィットとヤリスは室内の大きさをはじめコンセプトが違うので単純な比較はできず、ヤリスを意識して展開しているということはありません。フィットは昨年10月に発売した直後は「小さい割に価格が高い」という評判で売れ行きはあまり芳しくなかったのですが、尻上がりに良くなっています。実際に乗っていただいたユーザーの方から「燃費が良い」「室内が意外に広い」といった口コミが広がり、発売直後に最も売れる一般的なパターンとは逆になっています。貨物税減税の終了直前の販売を盛り上げるには、フィットをアピールするのが最適と考えています。

──来年は中台間で両岸経済協力枠組協議(ECFA)が締結されると期待が高まっており、準備に動いている自動車メーカーもあります。ECFAを活用するなどの計画はありますか。

鈴木:初年度は台湾から中国への輸出10万台、台湾への輸入1万台を無関税にし、その後毎年50%ずつ上積みされていく当初案が協議されているようですが、この案でシェア割するとホンダが取れる台数は4~5年たっても数千台程度で、モデルを割り当てて台湾で展開するには中途半端な数字だと感じています。

 ECFAはもちろん重要ですが、締結後ECFAをベースに日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)が動き出せば、ビジネスに直結してくるし非常に興味がありますね。特にわれわれは部品の海外調達率が60%と他メーカーと比べて高いので、関税率の低減は歓迎するところです。