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鴻海、デルのポーランド工場買収


ニュース 電子 作成日:2009年12月3日_記事番号:T00019636

鴻海、デルのポーランド工場買収

 
 鴻海精密工業は2日、デルのポーランド・ロッズ工場を子会社を通じて買収すると発表した。同工場は、欧米市場の売上比率が8割に上るデルがパソコン、サーバーなどを生産する欧州の主要拠点の一つだ。鴻海はデルからの受注拡大が期待できる上、世界3大PCメーカーを顧客として確保することになり、グローバルブランドの受託生産企業としての存在感がさらに高まる見通しだ。3日付工商時報などが報じた。
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 鴻海は2日夜、子会社のPCE Paragon Solutions Kft.がデルと工場買収に関する提携契約を締結したと発表した。鴻海が買収するポーランド工場は、デルが2億9,200万米ドルを投じて昨年稼働を始めたばかり。来年下半期に購入代金を支払い、従業員約1,200人やデルの欧州市場の受注も引き継ぐ。契約の詳細は明らかにされていないが、取得額は100億台湾元(約270億円)を下回るとの市場予測が出ている。

 デルは鴻海への工場売却について、EMEA(欧州、中東、アフリカ)市場での存在感を増し、顧客に対するサービスを向上させることが目的と表明。今後も引き続き、 ポーランド工場で鴻海とともに同市場向けにデスクトップPC、ノートPC、サーバーなどを生産すると強調した。なお、デルは昨年の段階で、海外工場の売却を進め、外部への生産委託の割合を引き上げる方針を示していた。

ノート受託メーカーへの脅威が拡大

 鴻海は、ノキアと長年協力関係にあったフィンランドのフレームメーカー、Eimo Oyjを03年に買収したことを皮切りに、モトローラのメキシコ工場、ソニーのメキシコ工場などを取得して国際的大手ブランドとの提携強化を進めている。

 PC世界シェア首位のヒューレット・パッカード(HP)は、07~09年に海外生産拠点を相次いで鴻海に売却しており、今や鴻海の成長をけん引する顧客という位置付けだ。世界シェア2位の宏碁(エイサー)は、03年に傘下の国碁電子を鴻海に売却するなどデスクトップPCで協力関係が続いており、先日、ノートPCも鴻海に発注する可能性があると表明。今回、世界シェア3位のデルのポーランド工場が鴻海の生産拠点に加わることで、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)などノートPC受託生産大手メーカーに対する脅威が増すことは確実だ。

受託製造業界のサムスンに

 週刊誌「壱週刊」最新445号は、鴻海グループ傘下の液晶パネルメーカー、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)が、同業大手の奇美電子(CMO)を買収することについて、鴻海は部品調達コストの引き締めと、ソニー、HP、デル、ノキアなど国際ブランドとの提携によって、パネルなど部品を自製して液晶テレビや携帯電話などで世界をリードするサムスン電子のような存在を目指していると分析した。

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