液晶パネルのバックライト光源となる冷陰極蛍光ランプ(CCFL)で台湾2位の台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)は3日、同事業からの撤退を発表した。バックライトへの発光ダイオード(LED)の普及が予想以上の速さで進んでいることが理由だ。デルタの撤退は、全面的なLEDバックライト時代の到来を意味すると受け止められており、アナリストは同社はCCFL撤退で一時的なダメージに見舞われるものの、長期的にはプラスになる判断と評価している。4日付工商時報が報じた。
デルタは2003年にCCFL参入、05年に受注を開始し、現在中台に31本の生産ラインを抱える。液晶パネル産業が薄利時代に突入し、部品メーカーの販売価格が強い圧力にさらされる中、自前のパネルメーカーを持たず安定した出荷先を確保できないデルタは、昨年から既に赤字に陥っていた。
同社CCFL工場については一時、省エネ蛍光灯生産への切り替えも検討していると伝えられたが、同製品の価格下落スピードが速く、生産転換で苦境を乗り越えることは困難と判断して閉鎖を決めたもようだ。来年3月で工場の操業などすべての関連業務を終了させるが、中台CCFL部門の従業員計200人はグループ内の関連部門に配置換えし、解雇しない方針を表明した。
なお、CCFL事業からの撤退に伴い、第4四半期の財務報告に6億8,800万台湾元(約19億円)の減損損失を計上する。
LED事業に全力
デルタはCCFL事業からの撤退表明と同時に、桃園県政府と共同で同県に「LED街灯モデル道路」を設置したと発表、今後照明事業はLEDに全力投入する姿勢を示した。デルタ固態照明事業部の江文興処長は、「目下、台湾以外に中国、北欧、中欧、米国のLED街灯・照明市場への切り込みを図っている。また、日系メーカー向けにLED電球の受託生産を量産規模で行っている」と語った。
デルタ以外のCCFLメーカーも、LED事業を積極的に強化している。友達光電(AUO)傘下のCCFL台湾最大手、威力盟電子(ウェリーパワー)は2年前にLEDパッケージング(封止)に参入、現在売上比率を23%まで拡大しているほか、奇美電子(CMO)傘下の啓耀光電(GIOオプトエレクトロニクス)もLEDの生産能力を継続的に増強しており、今期からバックライト向けにも出荷を開始している。
テレビも5年内にLED主流に
電子時報によるとノートパソコンへのLEDバックライト普及率は、08年の3割から今年は8割へ一気に拡大、来年はLED移行がほぼ完了する見込みだ。一方、液晶テレビや液晶モニターでは依然CCFLが優勢を保っているが、年々LEDの輝度が高まり、コストも低下する中、3~5年以内にこれら製品でもLED時代が到来するとアナリストは予測している。
市場調査会社によると、大型液晶パネルでのLEDバックライト普及率は、▽09年、27.8%▽11年、56%▽15年、78%──と急速に拡大する見通しだ。
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