液晶パネル最大手、友達光電(AUO)の李焜耀董事長は10日、他企業の合併・買収(M&A)計画を始動させる考えを明言した。鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の群創光電(イノルックス・ディスプレイ)が奇美電子(CMO)を来春に合併し、生産能力で台湾首位、世界3位に躍進することを受け、AUOには「対鴻海連合」結成に動いているとの観測が出ていた。ただ市場調査機関からは、中華映管(CPT)や瀚宇彩晶(ハンスター)を合併する場合、実質的効果は薄く、自社工場を拡張した方が合理的との指摘も出ている。11日付経済日報などが報じた。
「対象を模索中」
李董事長はブルームバーグのインタビューに対し、「現在、合併先を模索している」と語った。AUOの前身、達碁科技が2001年に聯友光電を合併してAUOが誕生し、06年に広輝電子(クアンタ・ディスプレイ)を合併して以来で、同社にとって3度目の合併が行われる可能性が出てきた。
李董事長は「現段階では何もコメントできないが、いかなる立場や条件に対しても、オープンな態度で臨む」と強調した。投資銀行から合併の提案を受けているが、現時点では具体的なプランは何もないとしている。
李董事長は、同社の10年設備投資は今年の700億~750億台湾元から20~30%増えると見込んでいる。総額で1,000億元(約2,700億円)を超える計算で、主に第7.5、第8世代パネル工場に充てられる。
顧客確保も重要課題
市場調査機関、アイサプライ(iSuppli)は、AUOの現在の課題は生産能力拡張だけでなく、生産規模に見合う顧客を確保することだと指摘した。そのため、中華映管かハンスターを合併したとしても実際のメリットは少ない上、両社とも資本金額が大きく、取得に巨額な費用がかかることを考えれば、自社で次世代工場を建てた方が有利という分析を示した。
ただ、蘋果日報の予想では、合併先として最も可能性が高いのは中華映管だ。合併のメリットとして、生産能力を増強できるほか、中華映管傘下の閩東電機集団が深圳A株市場に上場しているため、中国からの資金調達が可能になることなどを挙げている。日本のパネルメーカーの合併は、取得コストが高く、企業文化の差が大きいことが障壁になるため、可能性は10%未満と見積もっている。一方、中国メーカーについては、現時点では法規制で合併が不可能とはいえ、規制緩和で可能となれば、生産能力確保だけでなく、中国での展開強化も期待できるとみている。
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