ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

世界初、乳がんワクチン開発に成功


ニュース その他製造 作成日:2007年8月8日_記事番号:T00001985

世界初、乳がんワクチン開発に成功

 
 中央研究院が実際の治療に効果のある乳がんワクチンを、世界で初めて開発した。翁啓恵院長が7日、台北で開かれている「アジアン・サイエンス・キャンプ」で発表したもので、末期症状の患者に対する治療有効性は80%に上ることが実験で証明されたという。米国食品医薬品局(FDA)も行政院衛生署と協力して、第2、第3段階の人体実験を実施することに同意しており、早ければ3年後の市場流通が期待される。8日付中国時報が報じた。
T000019851

 
 「治療有効性80%」の意味について翁院長は、「第1段階の人体実験で、ワクチンの接種を受けた10人の被験者はいずれもがん細胞が消滅し、5年後の追跡調査で再発が確認されたのは2人だけだった」と説明。順調に治療薬として流通させることができれば、患者にとっては大きな朗報だとした。

 行政院衛生署は台湾の乳がん患者数の詳しい数字を公表していないが、患者は年間6,000人のペースで増えており、食生活の西洋化に伴って患者の若年化が進んでいるという。現在行われている治療法は、腫瘍部を外科手術で切除し化学薬物を投与するもので、初期段階の患者には効果が大きく、5年後生存率は90%に上る。しかし、長期的には再発率が高く、これをいかに低下させるかが課題となっている。

多糖体を抗原に

 翁院長によると、乳がん患者の80%は乳がん細胞内部に6個の単糖からなる多糖体が形成されており、新ワクチンは世界で初めてこの多糖体を抗原として使用した。患者に接種すると体内にナチュラルキラー細胞(NK細胞)が生まれ、乳がん細胞を探し出してせん滅する。免疫力を強化してがん細胞を破壊する「治療性ワクチン」に当たる。

 中研院の研究グループが同ワクチンの動物実験を開始したは2000年で、乳がん細胞のせん滅率は90%という結果になった。02年からは第1段階の人体実験に入り、80%の治療有効性を得、安全性にも問題がないことが確認された。薬品とて正式な認可を受けて発売となった場合、もたらされる利益は200億台湾元(約720億円)に上るとみている。

 同研究グループに参加した陳鈴津中研院遺伝子センター副主任によると、研究グループでは現在、ワクチンの効果を強化する補助薬の選定を進めており、これまでのところ鳥インフルエンザワクチンの補助薬としても使ったグリコリピド補助薬が候補として上がっている。
T000019852