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作成日:2009年12月18日_記事番号:T00019932
3.2億元横領の元行員、逃亡5年でお縄に
2004年にインターネットバンキングのEDI(電子データ交換)を利用し、3億2,000万台湾元を横領した、台湾銀行の元実習行員・謝世宏容疑者(35)が16日、5年間の逃亡生活の末、台北市内で逮捕された。台湾初の内部関係者によるEDI横領事件で、横領金の大部分は父親の借金返済に当てられていた。
04年当時、台銀松江支店でEDI業務を担当していた謝容疑者は、6月15日の午前中にネットバンキングの架空口座を2つ開設し、それぞれ1億6,000万元の預金を偽造。上司が管理する「大口ネット取引管理カード」を盗用し、この架空口座から自分の口座に1億6,000万元を振り込むことに成功。正午には、自分の口座から現金1,400万元を引き出した。
謝容疑者は、この現金を使ってアメリカン・エキスプレスのトラベラーズチェック10万米ドルを購入したほか、両替で2万ユーロおよび2万米ドルの現金を入手。事件に気付いた台銀は、即座に口座を凍結し、警察に通報したが、謝容疑者は既に逃亡していた。
謝容疑者によると、横領した現金約1,400万元はすべて父親の債務返済に当て、自分はトラベラーズチェックだけを持ち、台南や桃園に潜伏。ここ3年ほどは師大夜市(ナイトマーケット)近くの泰順街で妻と暮らしていたという。
トラベラーズチェックは05年12月、妻経由で叔母の鄭宝貴容疑者に託され、叔母が日本で現金化し、中国信託の海外口座に入金した後、台湾に戻って引き出し、妻の弟らの口座に入金するという方法でマネーロンダリングされ、謝容疑者の生活費になっていた。トラベラーズチェックはこれまでに計41回、4万1,200米ドルに換金されていた。
謝容疑者の逮捕は、09年10月2日、鄭容疑者が日本の空港でトラベラーズチェックを現金化しようとして逮捕されたことがきっかけだ。台湾に送還された鄭容疑者を調べた警察は、師大夜市で4軒のブティックを経営する謝容疑者の妻をマーク。2カ月間に及ぶ捜査の末、12月16日午前1時半に店から出てきた謝容疑者を警察官が発見しお縄となった。
謝容疑者によると、父親は台北市西門町で有名なイカスープ店を経営していたが、賭博による借金が2,000万元に達し、謝容疑者の職場にまで借金取りが押しかけるようになったことから犯行を思い付いたという。