カジノ開放について検討を進めてきた部会(省庁)横断の研究グループが、「事業ライセンスは当初3社に発行し、外資による出資比率は60%を上限とする」などの原案をまとめた。カジノ設置に関する具体案が提示されたのは初めてで、近く経済建設委員会(経建委)が行政院の財経小組に報告を行う。9日付経済日報が報じた。
原案は、経建委が制定を目指す「国際観光レジャー区特許カジノ管理条例」の下敷きとなるもので、主な内容は、◆当初は事業ライセンスを3社に限定◆外資による出資比率は60%以下◆特許期間は最長20年◆毎月の売上高の40%を特許費(権利金)とし、「中央政府70%、地方政府30%」の比率で分配する◆観光カジノの入場料は、5割を地方政府の福祉に、3割を全民健康保険に、2割を国民保険に充てる◆設置場所は離島に限定しない──など。
草案について、何美ゲツ(ゲツは王へんに月)経建委主任委員は、「カジノ開放について行政院内部では依然意見の不一致があり、反対の立法委員もいる。経建委は引き続き意見調整を行って、10月に条例の最終案を提出したい」と語った。
カジノ開放の方針が初めて示されたのは2000年で、当時の唐飛行政院長がラスベガスを参考に澎湖県に設置を検討するよう指示したことが端緒だ。しかし開放をめぐって民進党内で意見が一致せず、その後進展を見なかったが、シンガポールの観光カジノ開放を受けて、蘇貞昌前行政院長が、観光発展条例に賭博条項を設けて開放することを検討するよう経建会に指示していた。
マカオの大手が視察
政府がカジノ開放方針に対し、観光業者や地方政府は歓迎の意を示している。
台東県のコウ麗貞県長(コウは廣におおざと)は6月にマカオを訪問した際、有名カジノホテル、リスボアの経営者でカジノ王の異名がある何鴻シン氏(シンは火三つの下に木)にあいさつし、賭博条例の成立後に台東でカジノ設置の投資を行うよう求めた。何氏は適当な時期に台湾に視察に行くことをその場で応諾したという。
事情に詳しい関係者によると、これまでにも各地の観光協会、地方政府、経済界が協力して、マカオのベネチアンやサンズ・カジノ、リスボアの関係者を招き、宜蘭県の喜來登天外天国際渡假旅館、花蓮海洋公園、理想度假村など、計画段階を含む観光ホテルやレジャー施設などの候補地の視察が行われている。
ある業者は、「政府の方針では権利金が売り上げの4割に達するため、投資家にとって短期の資金回収は容易ではない。地元の関係者との共同投資が望ましい」と語っている。
なお、行政院のスポークスマンである謝志偉新聞局長は8日、「社会的合意ができ上がるまでは、カジノ開放は単なる研究案にすぎない。犠牲を払ってまで強行はしない」と述べ、実現に向けては慎重に対応していく考えを示した。