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台北市が天灯飛ばしを禁止へ、名所・平渓が猛反発


ニュース 社会 作成日:2010年1月5日_記事番号:T00020139

台北市が天灯飛ばしを禁止へ、名所・平渓が猛反発

 
 日本の小正月に当たる元宵節(旧暦1月15日)には、台湾各地で「天灯」と呼ばれるランタンが夜空に放たれる。もともと天灯は、中国の三国時代に諸葛孔明が軍事的な通信手段として発明したのが始まり。気球と同じ原理で、火種が燃えることで上昇気流を生み昇天するが、今では側面に願い事などを書き、無病息災などを祈る民俗習慣としてすっかり定着した。

 特に有名なのは「天灯の故郷」と呼ばれる台北県平渓郷のランタンフェスティバル。何百もの天灯が夜空に一斉に放たれる様子は実に幻想的で、毎年、多くの観光客が集まる一大行事となっている。

 ところが、風まかせでどこへ飛んでゆくか予測不可能な天灯は、落下地点で火災を引き起こすこともある。実際、2006年には天灯が原因と思われる火災が何件も発生したことから、内政部は天灯の大きさや放つ場所などを規制する「天灯施放作業指導要点」を制定している。

 これを受けた形で、台北市政府は天灯を飛ばすことを全面的に禁止する「火災予防自治条例」の制定を進めている。台北市は人口も多く、市内には高層ビルが林立し、松山空港や木柵線などMRT(都市交通システム)の高架部分などもあることから、天灯は非常に危険だというのが理由だ。

 同条例は早ければ今年の春節(旧正月)後にも実施される見通し。違反者は5,000台湾元以上10万元の罰金処分が科されることになる。

 平渓を訪れる観光客のうち、4割以上が台北市民。同市の禁止によって天灯の購買意欲に影響が出れば、2,000人余りが天灯産業に従事する平渓郷にとって、地元民の生計に与える打撃は深刻だ。平渓郷の郷民代表と天灯販売業者は4日、台北市を批判すると同時に、防火紙を使用した新式の防火エコ天灯は規制対象外とするよう求めた。

 幸い、平渓のある台北県では天灯禁止の声は聞かれないが、今のうちに幻想的な奇観を体験しておいたほうがよいかもしれない。