呉敦義行政院長は8日の新年記者会見で、今月20日より中国側と両岸経済枠組み協議(ECFA)の正式交渉に入り、5月の第5回中台民間トップ会談(江陳会)で締結を目指す方針を明らかにした。双方は交渉開始に当たって、アーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)への盛り込みを希望する産業リストを公開し、協議を煮詰めていく。9日付経済日報などが報じた。
呉行政院長は、ECFA締結は民意の支持と立法院による監督が前提条件と発言し、引き続き世論の理解を求めていく姿勢を示した(8日=中央社)
ECFA交渉は北京で、台湾側の黄志鵬経済部国際貿易局長と中国側の唐煒商務省香港・台湾・マカオ司長との間で行われる。台湾側がアーリーハーベストに含めることを希望する項目は、▽石油化学基礎原料▽プラスチック原料▽ゴム原料▽石油化学製品▽化学繊維▽紡織業川上の糸と布▽紡織業川中の織布▽工業用紡織品▽その他紡織品▽産業用機械▽機械部品▽自動車▽液晶ディスイプレイおよびその他の製品──などだ。
杜紫軍経済部工業局長は同日開かれたECFAのアーリーハーベストに関する公聴会で、ECFAが締結されれば、日本や欧州連合(EU)、米国の企業が台湾を中国への前進基地として位置付け、今後7年間で台湾に89億米ドルもの投資を行うとの予測を示した。 台湾産業界は現段階で、石化や食品、機械など貿易に携わる業界で早期締結を求める声が強いものの、台湾内需市場を中心に事業を行っている産業では反対意見が多いという。
公聴会では、鉄鋼や製紙、石化などの業界から、台湾がゼロ関税である一方、中国が3~8%の輸出税をかけている一部製品について、不公平の是正を求める意見が出された。
中華民国全国工業総会(工総)の陳武雄理事長によると、傘下152の産業団体のうち、ECFA締結を支持するのは103団体で、反対は28団体。このほか、21団体が回答していない。陳理事長は「ECFAは根気よく説明していけば、より多くの産業の理解を得られることを(この数値は)示している」と語った。
パネル開放、「1月末までに」
なお、呉行政院長は、懸案の液晶パネル前工程、および半導体製造の中国投資開放について「1月末までに公表できる」との考えを語った。
経済日報によると、経済部と関係省庁が検討した結果、パネル、半導体、ミドルエンドからハイエンドのパッケージング・テスティング(封止・検査)、ローエンドのIC設計の各項目が「条件付きで開放に認可」とされたが、パネルは切迫性が高いとの判断から今回の開放リストの中に盛り込まれた。
一方、第一類電信業は通信の秘密保持、および個人データの取り扱いを含むため、今回は開放リストに盛り込まれない見通しだ。ナフサ分解プラントは、国光石化科技(KPTC)の投資計画、台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサプラント5期拡張計画が環境審査を通過して正式に決定してから改めて検討する方針だ。