●規模別分析の目的
「企業規模の違いで春節賞与はどう変わるのだろうか?」との発想から、規模別に見た春節賞与月数を分析してみました。
企業規模を表す指標はいろいろありますが、ここでは「従業員数」を企業規模を測る指標としました。
今回の調査による企業規模の区分けとサンプル数は以下の通りです。
●規模別業績
売り上げの伸びを見てみると、30~50人の規模では30%以上の減収となっている企業が37%と最も多くなっています。この規模では日本から輸入販売をしている企業が多いため、急激な円高の影響も受けているのではと考えています。
次に利益の伸びを見ると、30%以上減益の会社は30~50人の規模が37%、200人以上の規模が42%と高い比率になっています。
普段から在台日系企業さまの内部事情に深くかかわっているコンサルタントとしての経験も含めてまとめますと、事業が上手くいくと30~50人の規模には簡単になります。しかしこの規模の頃は次の発展への強力なビジネスモデルがいまだ未完性のところが多く、勝ち組と負け組がハッキリしやすい規模でもあります。つまり今回のような不景気の環境下では大きな影響を受けやすい企業が多い規模といえます。停滞企業への対策として「30人以下の規模で成功したビジネスモデルに加え、次の成長エンジンとなるビジネスモデルの確立すること」が必要です。
また200人以上の規模ではビジネスモデルが固まり過ぎて環境変化への対応が遅れがちになりやすいので、常に先を見据えた早め早めの対応が求められます。
●規模別春節賞与
上図は規模別の春節賞与状況を表したグラフです。当初の予想に反し、「規模別では賞与の差はあまり見られない」ことが分かります。このことは下のグラフを見ても分かる通り、年間賞与でも同様のことがいえます。
つまり在台日系企業においては企業規模(従業員数)よりも本レポートの第2回および第3回でご紹介したとおり、業種や業態により賞与に差がついていることが分かります。
私自身も会社を経営していて感じるのですが、一般的には企業規模が大きくなればなるほど、より多くの賞与支給がしやすくなります。
しかし在台日系企業では台湾での事業規模は小さくとも一流企業としての責任があったり、同業企業との関係で社員に転職されないようにとの配慮から小規模の企業でも頑張って平均的な賞与を支給しているのではないかと思っています。
次回、第5回は台湾企業の予想支給月数についてご紹介致します。
ワイズコンサルティンググループ代表 吉本康志
(表)(図)