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作成日:2010年1月15日_記事番号:T00020382
犬・猫のがん増加、台湾大が研究センター設置
目下、台湾で飼われているペットは約150万匹(犬127万匹、猫23万匹)。台湾大学動物病院に診察に訪れるペットは年間約2万5,000~2万8,000匹で、そのうち約1,800匹のペットが「がん」にかかっているという。
こうした現状を受け、台湾大学は14日、「動物がん医学研究センター」を設立した。初期の段階では、主にペットの犬や猫によく見られる乳がんなどのワクチンの研究開発を行う計画だ。
台湾でがんは、まだペットの死亡原因の1位ではないものの、その比率は増加の一途をたどっているという。
中でもよく見られるのが、メス犬の乳がん、オス犬の皮膚がん(悪性黒色腫)と軟部組織肉腫、猫の白血病や悪性リンパ腫だ。ペットのがん手術にかかる費用は約2万~8万台湾元、術後の化学療法にも1回当たり1~2万元が必要で、健康保険がないだけに医療費は高額となるのが現状だ。
台大動物がん医学研究センターは、既にフランスの薬品メーカーとワクチンの共同開発を進めており、乳がんのワクチンは臨床応用段階。犬の皮膚がんワクチンは、230日の延命に成功している。犬や猫の遺伝子は、ヒトと似ている部分が多いため、ペットのがん治療の研究成果をヒトに応用することも可能だとか。
少子化や核家族化が進む中、ペットというよりむしろ家族の一員として飼われる例が増えており、その死亡によって精神的に参ってしまう飼い主も少なくない。
ペットの健康に気を使う飼い主が増えたためか、1930年代わずか7歳だった犬の平均寿命は現在では13歳。がんになったペットが延命措置を望んでいるかどうかは知る由もないが、ペット愛好家にとっては朗報ではないだろうか。