台湾積体電路製造(TSMC)は19日、同社8基目の12インチウエハー工場となる、新竹科学工業園区(竹科)「Fab12」第5期工場の上棟式を行った。同工場では今年第3四半期に28ナノメートル製造プロセスの量産に入る予定だ。今後、22ナノプロセスへの投資に向け第6期拡張も計画しており、同社の12インチ工場は2年以内に業界最多の10基に達する見通しだ。20日付電子時報などが報じた。
上棟式が行われた竹科第5期12インチ工場(19日=中央社)
TSMCで最先端技術の研究開発(R&D)および初期量産に充てられる竹科第4期および第5期工場では、昨年第3四半期に第4期が量産を開始したが、最近急激に高まる顧客需要を満たすまでには至っておらず、第5期の建設を急ぐ構えだ。
TSMCは現在、竹科第1期と第2期工場で28、22ナノプロセスの研究開発を進めているが、第5期工場で第3四半期に28プロセスの量産を開始した後、22ナノおよびそれ以降の先進プロセスの研究開発も同工場が担う予定だ。
なお、春節(旧正月)明けには南部科学工業園区(南科)で12インチウエハーの「Fab14」第4期工場も着工し、今年第4四半期にも完成、製造設備を搬入する。同工場の稼働により、40ナノプロセスの生産能力を拡充する。
台湾政府の経済政策に対して張董事長は「公平な競争が行われる環境を作り上げることが政府の役割」述べ、産業創新条例などによる減税・優遇措置には賛成しない考えを示した(19日=中央社)
今年の研究開発費、25%増
同日ビジネス情報誌「天下雑誌」主催のフォーラムに出席した張忠謀董事長は、「当社の今年の研究開発費は、昨年比25%増の270億元となる」と表明した。同社の2009年通年の研究開発費は、前年の215億元から216億元に微増。今年の大幅増額について張董事長は、「高い水準の研究開発費を注ぎ込むことが金融危機の影響から早く脱するための鍵となる」と語った。
張董事長はまた、「景気が悪い時、企業にとって必要なのは小さな費用を節約することではなく、活力と競争力を維持すること」と語った。その上で、「昨年は第1四半期に深刻な業績悪化に見舞われたが、研究開発費と設備投資を維持し、生産能力と技術で顧客を満足させることの2点は崩さなかった」と強調した。
今年度の設備投資額について張董事長は、「過去2年より必ず増える」とだけ語ったが、市場では前年比48%増で過去最高の40億米ドル以上と予測されている。月末の業績説明会で具体的な数字が明らかになる見通しだ。
ハイテク産業、今後2年は好景気
張董事長は今後のハイテク産業の景気見通しについて、「金融危機発生後、企業は厳しい在庫管理を行ったが、末端消費は予想されたほど落ち込まなかった。既に力強い回復を見せている今年は非常に好調となる。また、来年も見通しは悪くない」と語った。