遠東集団(ファーイースタン・グループ)が太平洋崇光百貨(太平洋そごう)の経営から撤退を迫られる可能性が出てきた。遠東集団が2002年9月に太平洋そごうの経営権を取得した際の10億台湾元(約28億5,000万円)出資で、出資受け入れを決定した持株会社、太平洋流通投資(太流)の董事会などの議事録が虚偽のものと裁判所に判断されたことを受けて、経済部商業司が遠東集団の出資登記を取り消すかどうか2週間以内に決めると表明したためだ。21日付中国時報などが報じた。
太平洋そごうは遠東集団が経営を引き継いでから、台北復興館、台北天母店(写真)、中レキ中央新館などを新たに出店し、現在台湾8店、中国11店を展開している(YSN)
太平洋そごうは元のオーナーの太平洋建設集団が財務危機に陥ったことをきっかけに、02年に経営権が遠東集団に移った。その際、太流の李恒隆董事長が遠東集団側の協力の下、遠東集団からの10億元出資を受け入れて経営権の移転を認めたとする董事会と臨時株主総会をでっち挙げ、これに基づいて実際に出資が行われた。
しかし、これを不服とした太平洋建設集団側が有印私文書偽造などの罪で李恒隆董事長らを提訴し、昨年10月、台湾高等法院は訴えを認めて李董事長を含む6人に有罪の判断を下し、このうち遠東集団側の協力者については有罪が確定した。台湾高等法院検察署(高検署)は判決に基づき遠東集団の出資登記は無効だとして昨年末、経済部商業司に対し登記取り消しを求めていた。公司法(会社法)第9條第4項には、「会社の設立または登記事項に偽造、偽造文書があれば、裁判所の判決に従い、検察機関は中央主管機関に対し、その登記の取消または廃止を通知する」と規定されている。
経済部商業司の李鎂・副司長は20日、出資登記を取り消した場合は、太平洋そごうの資本金は、遠東集団が出資する以前の1,000万元に戻るという見解を表明した。また、出資に伴う役員変更やその後の申請事項も取り消すかについては詳しく調査して判断するとした。一方、太流側が取り消しを不服とする場合、行政訴訟の提起が可能と発言した。
遠東集団、「出資は合法」
遠東集団は20日、太平洋そごうへの出資記録が偽造とする判決に対し、上訴可能な被告については徹底的に上訴していくとの声明を発表し、太平洋そごうの経営権獲得は正当なものという立場を強調した。
同集団は、昨年8月の地裁判決で「太流への出資と太平洋そごうの経営権取得は合法的商業行為」と認められていると指摘。さらに、太平洋そごうの財政危機を救うため、これまで49億元の出資を含む285億元以上の資金を投じてきたと強調した。その上で、太流が増資受け入れを決議した董事会および臨時株主総会は実際に開かれており、異議は出なかったと指摘した。