アマゾン・ドット・コムの「Kindle(キンドル)」にソニーが対抗する電子ブックリーダー市場に、台湾勢が初めて乗り込んだ。明基電通(BenQ)は26日、6インチ画面の「nReader」を発売。友達光電(AUO)の液晶パネルを採用するなど、明基友達集団が総力を挙げて取り組んだ自信作だ。華碩電脳(ASUS)や宏碁(エイサー)、聯想集団(レノボ)も年内参入を見据える中、BenQは日中英の3カ国語対応や、専用のコンテンツサービス提供など独自路線で迎え打つ構えだ。26日付電子時報などが報じた。
BenQの「nReader」。コンテンツサービスは、書籍だけでなく、経済誌や新聞、日本の漫画の翻訳版など、読者のニーズに合わせて拡大していく予定だ(BenQ提供、クリックで拡大)
出荷目標30万台、中国展開も
BenQの「nReader」は、タッチパネル対応のモノクロ液晶で、厚さは約1センチメートルの薄型ながら、書籍4,000冊相当を保存できる。販売価格は8,990台湾元(約2万5,000円)だ。明基友達集団の達意科技(シピックス・イメージング)の電子ペーパーを採用し、佳世達科技(Qisda)が受託生産した。下半期にはカラー機種もお目見えするもようだ。
王文璨BenQ副董事長によると今年の出荷目標は30万台で、このうち20万台を中国市場で販売したい考えだ。台湾の市場規模は今年10万台と見込み、シェア50%を狙う。電子ブックリーダー市場については毎年2倍以上のペースで成長し、3~5年後には利用者が世界人口の5%に上ると有望視している。
同社がシェア獲得に自信を見せる理由の一つは、ハードに当たる電子ブックリーダーだけでなく、独自のコンテンツサービスも自社で提供するためだ。なお、27日~2月1日開催の第18回台北国際書展(台北国際書籍見本市、台北世界貿易センター)では、初めて電子ブック専門コーナーが設けられる。こうした動きなどによる、電子ブックの認知度向上に期待がかかる。
ASUS、Q2参入へ
BenQだけでなく、中台大手ブランドも電子ブックリーダー商機に注目している。
ASUSは、早ければ第2四半期に欧米市場で電子ブックリーダーを発売する計画だ。現在開発中の6インチ型の「DR-57」か9インチ型の「DR-950」で、米イーインクか達意科技のディスプレイ技術を採用し、比較的低価格のサムスン電子の中央処理装置(CPU)を搭載、和碩聯合科技(ペガトロン)が受託生産を担う見通しだ。さらに第4四半期には、カラー機種を追加発売する予定だ。
レノボは、イーインクのディスプレイ技術による6インチ型「iBook」を既に発表している。サムスンのCPUを搭載し、販売価格は2,000人民元(約2万6,000円)前後の予定だ。
エイサーも第3四半期、欧州市場を中心に6インチ機種を投入する計画だ。
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