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ECFA交渉スタート、市場開放で早くも対立


ニュース その他分野 作成日:2010年1月27日_記事番号:T00020645

ECFA交渉スタート、市場開放で早くも対立

 
 中台間の海峡両岸経済枠組み協議(ECFA)の第1回交渉が26日北京で行われ、双方がECFAに含める項目や、協議の進め方の原則など、今後の交渉の方向性について合意した。しかし、台湾側が中国産農産品の開放を拡大しないなど対等の市場開放を拒否する姿勢を示したのに対し、中国側は中国産品に対して差別的扱いをしないよう求め、主張の対立が早くも鮮明になった。27日付経済日報などが報じた。
 
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交渉スタートに当たり握手する高孔廉・海協会副董事長(左)と、中国の鄭立中・海峡両岸関係協会(海協会)副会長。高副董事長は「ECFAは両岸の歴史的出来事」とあいさつした(26日=中央社)
  
 台湾側代表の高孔廉・海峡交流基金会(海基会)副董事長は会議の席上、「ECFA交渉では双方の経済規模がかけ離れていることを念頭に、合理的な対応が行われなければならない」と発言した。このせりふの本音は「対等の開放は希望しない」ことにある。台湾側の関係者は今後の交渉目標について、「中台は経済規模が異なるため、アーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)、工業製品の関税引き下げ、サービス市場開放の交渉で実質的対等を勝ち取りたい」と語る。双方の市場開放は、中国側に優遇してもらう形でなければ「対等」が保てないというのが台湾の立場だ。台湾側はこのほか、中国人労働者の受け入れと中国産農産品の市場開放拡大は行わない方針も表明したという。

 これに対し中国側は「WTO以上の優遇措置を台湾に提供するが、台湾は中国の農産品、工業製品に対し他のWTO加盟国・地域の産品と同じ待遇を与えてほしい」と求めた。経済日報の報道が事実であれば双方の隔たりは大きく、今後の交渉の推移が注目される。

 なお、会議に参加した李麗珍・行政院大陸委員会(陸委会)経済処処長は、「今年上半期中に予定されている次回の中台民間トップ会談(第5回江陳会)でECFAを締結する目標に変更はない」とコメントした。

近く台北で実質交渉入り
 
 第1回交渉では、ECFAに含める分野を、▽商品貿易とサービス貿易の市場開放▽原産地規制▽貿易救済▽アーリーハーベスト計画▽紛争解決▽投資・経済協力──の6項目とすることで合意した。中国に進出した台湾企業の要望が高い投資保障協定もECFAに含め、「投資」分野で交渉が進められることとなった。

 交渉の進め方は「先に簡単のものから着手し、段階的に進めて行く」ことで合意した。

 実質交渉に移る次回第2回協議を台北で、早期に実施することも決定。これに向けて双方は、税関の輸出入規則や、輸出入商品の管理番号と税率および数量統計などの資料を交換した。注目のアーリーハーベストは、今回は枠組み部分で意見交換をしたのみでリストの交換などは行われなかった。

 このほか、ECFAの中国語名称は台湾側が「海峡両岸経済合作架構協議」、中国側が「海峡両岸経済合作框架構協議」とすることも決まった。従来の名称に「海峡」の2文字が足されることになったものだ。