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作成日:2010年1月28日_記事番号:T00020647
罰金36万元の支払い、すべて硬貨で嫌がらせ

ジャラジャラという硬貨がぶつかり合う音。何人もの警察官が、卓上に山積みにされた小銭を汗だくで数えている。ここは台北市政府警察局の派出所、中正第一分局(中正区)だ。
気の遠くなるような量の小銭は、独立派団体、公投護台湾聯盟の総召集人を務める、蔡丁貴・台湾大学土木工学系教授(61)が持ち込んだもの。蔡教授は独立派の集会デモの常連で、「抗議天王」の異名を持つ。昨年3月以降、「集会遊行法(集会デモ法)」の廃止を主張し、立法院前で抗議デモを繰り返してきた。
デモのたびに「違法に集会デモを行った」として罰金刑に処せられた蔡教授には、これまでに計28件、総額84万台湾元の罰金が科せられ、そのうちの26件、計78万元の罰金の支払い期限が27日だった。
蔡教授は27日午前、20人余りの支持者を率い、2つの大きな箱に募金で集めた硬貨を入れ、オート三輪で「われわれ小市民には小銭しかないのさ!」と中正第一分局へ運び込んだ。
1元、5元、10元、50元の4種類の硬貨がばらばらに混じった小銭の山を見た警察官はびっくり。しかし、法律では罰金の支払いに硬貨を使用することを禁じていないため、受け取らざるを得なかった。
中正第一分局は、銀行から行員と硬貨を数える機械を借り、警察官を総動員して小銭を分類。「硬貨の音で耳がつぶれそう」という多大なストレスに耐えつつ、数え終えたときにはなんと9時間が経過していた。
警察官が小銭に翻弄されている間、蔡教授は派出所の外でプラカードを持って座り込み、「集会デモ法は違憲だ!」と大声で抗議を行った。持参金が罰金額に足りないことが分かるや、募金箱を持ち出してさらなる募金を募ったが、午後6時までに支払えた罰金額は42万元だった。残りも再び小銭で支払う算段かどうかは不明だが、中正第一分局の警察官は、当分戦々恐々として過ごすことになりそうだ。