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民進党の副総統候補、蘇貞昌氏で決定へ


ニュース 政治 作成日:2007年8月13日_記事番号:T00002070

民進党の副総統候補、蘇貞昌氏で決定へ


  来年3月の総統選挙で、民主進歩党(民進党)の総統候補者である謝長廷氏(元行政院長、元高雄市長)とペアを組むの副総統候補に、前行政院長の蘇貞昌氏がなることがほぼ決定したもようだ。蘇氏に出馬を要請していた謝氏が13日明らかにしたもので、蘇氏は「大局的判断から、善意の回答をする」と前向きととれる返事をしたという。謝氏と蘇氏は5月の党内予備選挙で激しく争ったが、正副総統候補として協力することで党内の融和を回復させつつ、総統選挙の勝利を目指すこととなった。
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「受け入れてくれれば、蘇氏が副総統候補」記者会見で
発表する謝長廷氏(12日=中央社)



葉氏を上回った評価

 副総統の候補としては、客家で女性の葉菊蘭氏(元高雄市代理市長、元行政院副院長)が一時有力とみられていた。民進党が伝統的に弱い客家の票と女性票の取り込みが見込め、謝氏との相乗効果がより高いと考えられたためだ。葉氏も自ら意欲をアピールしていた。

 しかし13日付中国時報によると、民進党が有権者へのアンケート調査を行ったところ、「謝蘇ペア」の支持率が「謝葉ペア」より高く、客家の有権者でも葉氏の蘇氏に対するリードはそれほど大きくなかった。また、謝氏が地方を回って支持者の声を聞いた結果、蘇氏を望む声が強かったもようだ。葉氏は地方の行政首長の経験が高雄代理市長の1年しかないため、有権者への浸透度が不足しているという指摘も聞かれた。このため、謝氏の判断は7月20日の訪米前の段階で、蘇氏にほぼ決まっていたという。
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人選をめぐって報道は揺れた。10日、民進党寄りの自由時報は「謝葉ペアでほぼ決まり」。国民党寄りの聯合報は「謝氏、葉氏とのペアの破局を示唆」(YSN)


党内融和を優先

 蘇氏を選んだ大きな理由に、党内融和の回復があるとみられる。

 屏東県長、台北県長、行政院長を歴任し、謝氏に勝るとも劣らない政治経歴を持つ蘇氏は、予備選挙では、謝氏が憲法上で「一つの中国」の維持に含みを持たせる発言をしたことや、高雄市長時代に汚職に関与した疑いを材料に猛攻撃したが敗北。この結果、行政院長を辞任した。同時に行われた立法委員の予備選挙でも、中間層寄りの発言が目立ち、かつ蘇氏の支持者が多かった新潮流派の候補者がほとんど落選するという事態が起きた。

 その後、メディアで葉氏有利と報じられたこともあり、蘇氏は「地位は不要、全力で選挙応援に回る」と明言。選挙をめぐるさまざまな憶測を回避すると称して、謝氏が訪米から帰台する直前の7月28日に渡米していた。

 こうした流れを受けて、謝氏には「蘇氏を選ぶことで、2大実力者の派閥の間にできたしこりを解消し、挙党一致体制で総統選挙に臨みたい」という判断がはたらいたとみられる。

 謝氏は先月、台北市第5選挙区で台湾団結聯盟(台聯)の現職、黄適卓氏と与党系の候補者の座を争う新潮流派のリーダー格、段宜康氏の応援集会に姿を見せ、「新潮流派との和解か」と注目されていた。

 さらに、蘇氏は屏東県出身で南部の票開拓が期待でき、台北市出身の謝氏とバランスが取れること、全土最大の票田である台北県で97年から04年まで県長を務め、04年の総統選挙では民進党の陳水扁・呂秀蓮ペアに100万票もの得票をもたらし、野党の連戦・宋楚瑜ペアに13万票差まで迫った実績を評価したことも考えられる。台北県の周錫イ現県長(イは王へんに韋)は、「人事異動が頻繁」「議会との意思疎通が不足」など評判は決して高くないため、同県での蘇氏の訴求力はより高くなると踏んだようだ。 

客家に結果の受け入れ呼び掛け
 
 謝氏は「謝蘇ペア」について、「まだ最終的な決定ではない」と語っている。副総統候補は15日に正式に発表するとしていたが、米国に滞在中の蘇氏はこれには間に合わない。なお、蘇氏は謝氏に対し、葉氏を気遣う発言をしたという。

 葉氏は12日、謝氏が蘇氏を選ぶ意向を明らかにしたした際、この決定を支持し、選挙応援に力を尽くす意向を明らかにしている。また、客家の支持者に対し、謝氏の決定を受け入れるよう呼び掛けも行った。