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お粗末な地方図書館事情、年間予算わずか1千元も


ニュース 社会 作成日:2010年2月6日_記事番号:T00020852

お粗末な地方図書館事情、年間予算わずか1千元も

 
 地方のへき地にも図書館を設置し、文化的建設を強化しようと政府が推進する「一郷鎮一図書館」政策が空回りしているようだ。推進側の理想と地方の実情との食い違い、蔵書管理の専門家不在、さらに中には年間図書購入予算がわずか1,000台湾元の場合もあるという経費不足など、お粗末な図書館事情が浮き彫りになっている。

 同政策に基づいて1980年に設立された高雄県の梓官郷立図書館は、「特色ある蔵書を」という図書館評定委員の要求を受け、10年前に漁業関連の専門書籍をセットで購入。しかし余美順館長によると、同蔵書の貸し出しは10年間でわずか3人で、利用率はあまりにも低い。余館長は「この経費で売れ筋の新書を購入したほうがどれほど良かったか」と嘆くが、後の祭りだ。

 また、同地では自宅に勉強部屋がない子供が多いため、図書館の自習室の利用率は高く、夜間や休日は利用者で満席状態。しかし評定委員は、「自習室が広すぎる」として書庫に変えるよう図書館側に要求しているという。評定委員の大半が大学教授で、実情をよく理解していないことがせっかくの政策を空回りさせている。

 高雄県永安郷立図書館に20年勤務する陳進鳳館長によると、「設立当初は小学校卒の学歴しかなく、アルファベットが読めなくても、郷長や鎮長にコネが利けば図書館員になれた」とか。いわゆる「養老館長」が多かったことも、図書館の発展に影響しているようだ。

 また、山間部にある高雄県茂林郷立図書館の年間図書購入予算はわずか1,000元。貸し出しは平均して3日に1人だというから、図書館が機能しているとは言い難い状態だ。

 しかし同図書館は昨年8月、台風8号(アジア名・モーラコット)による大規模水害で思わぬ効果があった。被災者を収容したことをきっかけに住民が情報交換や会合などの場所として使い、利用率がアップしたのだ。蔵書の少なさが悩みだが、他の図書館から寄贈を受けるなど徐々に改善されつつあるという。