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HTC最大4割値下げへ、市場激化で苦戦


ニュース 電子 作成日:2010年2月8日_記事番号:T00020909

HTC最大4割値下げへ、市場激化で苦戦

 
 スマートフォン最大手、宏達国際電子(HTC)が第1四半期、販売価格の最大4割の大幅値下げを行う。今年はアップルのiPhone人気に加え、サムスン電子やLGエレクトロニクスの攻勢強化によりスマートフォン市場は競争が一段と激化し、HTCは苦戦が予想されている。同社は従来の高利益率追求戦略を一転させ、市場シェア拡大を最優先課題に据えて活路を開く方針だ。8日付経済日報などが報じた。
 
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 値下げはシンガポールから着手し、その後、台湾、中国へと広げていく。また、独自プラットフォーム「Brew」採用で、300米ドル以下の低価格市場を狙った新機種「HTC Smart」を近く発売し、他社の多機能携帯と対決する構えだ。

 市場調査機関、IDCによると、HTCは昨年第4四半期の自社ブランド機種の出荷台数が240万台で、市場シェアを前年同期の5.6%から4.4%へと下げた結果、モトローラに抜かれて5位に転落した。また、前年比成長率は9.1%で上位5社の中で唯一1けた台にとどまった。

 同期の成長率が最も高かったのはアップルで97.7%、出荷台数870万台で16.0%のシェア3位を獲得した。首位ノキアは成長率37.7%、シェア38.2%の2,080万台。2位のリサーチ・イン・モーション(RIM)は成長率40.8%、シェア19.6%の1,070万台だった。アンドロイド機種の好調により4位に順位を上げたモトローラは、56.3%の高い成長率を記録。シェアは4.6%で出荷台数は250万台となった。

 ただ、8日付電子時報が業界関係者の話として報じたところによると、HTCは通信業者に供給している非自社ブランド機種を含めると、第4四半期の実際の出荷台数は350万台に上る。この数字で計算した場合は同期シェアは6.3%の4位となる。

 HTCの昨年通年のスマートフォン出荷台数は810万台で前年比8%増となったものの、市場シェアは4.6%と2008年の5%から低下した。

韓国勢が追撃
 
 スマートフォン市場の拡大を受けて、今年は携帯ブランド各社がシェア拡大に注力するため、HTCは上位3社に追い付けないばかりか、サムスン、LG、ソニー・エリクソンの追撃を受ける苦しい局面に立たされると予想される。

 サムスンの昨年通年のスマートフォン出荷台数は570万台で、市場シェアは3.3%と前年の3.6%から下落した。しかし同社はウインドウズ、アンドロイド、LiMoと多彩なOS(基本ソフト)に布陣していることに加え、今年第2四半期に独自プラットフォームBada機種を展開。アプリケーションストアをアピールしつつ通年で800万~1,000万台を狙う。

 スマートフォンで後れを取っていたLGも今年20機種を投入して追撃を図る。半数以上がアンドロイド機で、ウインドウズ機、リナックス機もそろえ、通年で1,000万台を目標に据える。業界では高過ぎる目標とみられているものの、北米や欧州および中国市場で人気となった場合、300万~500万台を達成する可能性はあるとされている。

1月は20.9%減収

 HTCが6日発表した1月売上高は111億2,100万台湾元(約308億5,000万円)で、前年比11.12%増となったものの前月比では20.95%の減収で予想を下回った。

 同月発売の、グーグル初のスマートフォンとして受託生産した「ネクサス・ワン」は、3G回線との接続不調が伝えられ、予想を下回る販売状況となっている。ある証券会社は第1四半期の予想販売台数を当初の50万台から40万台、またはそれ以下の水準に引き下げたと明らかにした。

 HTCの第1四半期の目標売上高は320億~340億元で、2月は稼働日が少ないため3月段階の新製品の量産スピードが鍵になるとの見方が出ている。
 
【図】