財政部が8日発表した貿易統計によると、1月の輸出総額は16カ月ぶり最高の217億4,540万米ドルで、前年同月比では75.8%増と過去33年間で最大の伸びを記録した。1月輸出の大幅成長は、▽昨年1月は金融危機発生後の不景気の谷底にあり、比較対象となる数値が極めて低かった▽昨年は1月に春節(旧正月)連休があった──という要因が大きい。しかし、昨年12月と比較しても8.6%の増加を見せており、経済部は「2、3月に金融危機発生以前の状態を回復する」と予測、専門家も現在の好調が維持されれば経済成長率の上方修正も考えられると指摘している。9日付経済日報などが報じた。
中国向けは約3倍に
輸出先別では特に、中国向け輸出額が前年比187.8%増、香港向けも同113%増となり、両者合計で95億4,000万米ドルと金融危機発生前ピーク期の100億米ドルに近づいた。財政部統計処の予測では、年内に単月100億米ドルを回復できる見通しだ。
宝華綜合経済研究院の梁国源院長は中国向け輸出の急成長に、「中国を中心としたアジア主導型経済回復の機会を台湾がしっかりとつかんでいることを示す」と分析した。
なお中国・香港向けの輸出全体に占める割合は、過去2番目の高さとなる43.9%まで拡大した。
このほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)6カ国向けの年成長率が87.1%と、中国・香港向けに次ぐ高成長率を記録し、全体に占める割合も14.5%と欧州(11.2%)、米国(10.2%)、日本(6.8%)向けを上回り、台湾経済にとって同市場の重要性が大きく高まったことがうかがえる。
ブルウィップ効果、数カ月続く
製品別の輸出額年増率は、▽電子製品、106%増▽光学機材、233.1%増▽化学品、128.2%増──と100%以上の成長が続出した。景気悪化による影響を最も強く受けた情報・通信製品も56%の大幅な伸びを見せた。
政府関係者は、昨年の不況下では、輸出の主力である電子製品および情報・通信製品の買い控えが起きたが、世界経済の好転に伴いこれら製品の消費が戻ってきていると指摘。さらに、世界の電子製品サプライチェーンから見ると、台湾からの輸出は川中・川上に当たる部品類を主とするが、末端市場の需要が川上に向かって増幅される「ブルウィップ効果」は今後数カ月にわたって続くとの見通しを示した。
1月の輸出統計には数多くの「成長率100%突破」が出現したが、輸出総額は依然金融危機前の水準には達していない。しかし行政院経済建設委員会(経建会)の胡仲英副主任委員は、「景気は安定的に回復しており、3月までに『金融危機以前』を回復、今年下半期も毎月ごとに良くなる」と楽観的な見方を示した。
輸入額も114%成長
一方、1月の輸入総額も192億5,260万米ドルで、前年同月比114.7%の大幅成長を記録。李述徳財政部長は「輸出だけでなく内需も徐々に回復していることを示す」と強調した。中でも資本設備の輸入額は4カ月連続で25億米ドルを超えており、台湾産業の生産分野への強い投資意欲をうかがわせた。
なお、1月の貿易黒字は24億9,280万米ドルで前年同月比26.8%の減少となった。
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