友達光電(AUO)は10日、経済部による液晶パネル前工程の中国投資開放の発表を受け、できる限り早く7.5世代工場の投資を申請すると表明した。群創光電(イノルックス・ディスプレイ)と奇美電子(CMO)などの合併によって誕生する新・奇美電子(英文名・Chimei Innolux Corporation)も3月18日の発足後、早期に申請を行う方針だ。パネル大手2社は中国での一貫生産が実現することにより、大幅な需要の伸びが期待される巨大市場での商機獲得に向けて、日韓や地場大手と競争を繰り広げることになる。11日付経済日報などが報じた。
中国投資規制の緩和を発表する施顔祥経済部長(中)。「中国大陸は世界の工場から世界の市場へと変化した。われわれも変化しなければ対応できない」と語った(10日=中央社)
経済部は同日、「中国での投資・技術協力に関する許可法(在大陸地区従事投資或技術合作許可弁法)」のネガティブリスト改正による、液晶パネルや半導体などの中国投資規制の緩和を発表した。
液晶パネルは投資禁止対象の「禁止類」から届け出によって可能となる「一般類」に変更されたが、中国に対する台湾の競争力を維持するため、中国への第6世代以上の工場投資は業界全体で最大3基までとする「総量規制」と、台湾で1世代以上技術がリードした工場を設けていること、の投資認可条件が設けられた。中国パネルメーカーに対する買収や出資は禁止だが、合弁による生産拠点設置は認める。
AUOは経済部の発表に対し、「台湾パネル産業の競争力向上に貢献する」と歓迎の意を表明した。台湾で既に8.5世代工場を稼働させているため、7.5世代工場の中国投資の実現を目指す考えだ。進出先は後工程モジュール(LCM)工場を設置している蘇州、および昆山一帯が最も有力視されているが、経済日報はモジュール工場やバックライトモジュール工場を設立し、システムメーカーも集積している四川省成都も候補地として考えられると指摘した。
新奇美電は広東省へ
新奇美電は現在設備搬入が最終段階の8.5世代工場が、第2四半期にガラス基板投入ベースで月産8,000枚の量産に着手する見通しで、これにより7.5世代工場の中国投資の資格を得る。群創光電の段行建董事長は10日、「中国では主に液晶テレビ用パネルを生産する」と語った。
新奇美電の進出先は広東省が確実だ。奇美電はシステムメーカーの集積を好感して仏山市南海区にLCM工場を設立しており、群創は深圳を重要拠点としている。
経済部は今回の規制緩和に応じて、パネルやウエハー、IC設計、パッケージング・テスティング(検査・封止)など各社の投資条件を専門に審査する「関鍵技術審査小組」を発足させる。また、経済部投資審議委員会(投審会)では、早ければ12日までに、遅くとも春節明けに関連規定を含めて投資開放の公告を行い、同時に申請受け付けを始めるとしている。
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