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富士康の深圳工場、人手不足5万人に


ニュース 電子 作成日:2010年2月24日_記事番号:T00021114

富士康の深圳工場、人手不足5万人に

 
 春節(旧正月)連休明け以降、中国沿海側地区での労働力不足が深刻化する中、広州市の地元紙・南方都市報は、EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の富士康国際(FIH)の深圳工場が、5万人もの人手不足に陥っていると伝えた。その他台湾系を含めた現地企業も、基本給引き上げや、従業員による知人紹介に対する奨励金支給など対策に追われているが、「安い労働力の不足」は顕著で、24日付工商時報は「経済発展に伴い、中国大陸の低コスト労働力時代は幕を閉じる」と指摘した。
  

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 富士康・深圳工場は、従業員による知人の紹介に200人民元(約2,600円)の奨励金を支給したり、春節明け3日目(16日)から2カ所の従業員募集拠点を設けるなどの対策により既に1万人以上を確保した。しかし、不足の解消には程遠く、納期に影響が出るとの懸念も生じている。

賃金30%アップも
 
 深圳では、従業員の紹介による労働力獲得という手法が多くの企業で採用されており、ある有名下着メーカーでは、工場に「熟練工1人紹介につき500人民元支給」と書いた垂れ幕を掲げている。奨励金の支給水準は最高で600人民元に達しているという。

 このほか現地台湾企業の中は、春節連休後の従業員流出を防ぐため、一時的に賃金を引き上げるメーカーもあり、上げ幅は熟練工で最高30%となっているようだ。

 台湾企業の深刻な人手不足には、中国沿海地区の地方政府も懸念を抱いており、台湾企業の労働力確保のため、内陸部に職員を派遣して募集を行ったり、地方の職業訓練学校に補助金を支給して協力を求めたりと対策を講じている。 しかし現在の売り手市場では、求職者が求める賃金や福利厚生などの条件が高くなっており、需要を満足させるほどの効果は上がっていないという。

バックライトメーカーが最も深刻 
 
 同日付蘋果日報によると、中国に進出している電子関係の台湾企業では、液晶パネル後工程モジュール(LCM)およびバックライトモジュールメーカーの状況が特に深刻となっている。江蘇省呉江市や広州に工場を構えるバックライトモジュールメーカー、瑞儀光電(ラディアント・オプトエレクトロニクス)は現在、多くの受注を受けているものの出荷が追い付かない状況となっているが、1週間以内に不足を解消したいとしている。

PCBは影響小さい
 
 一方、華東地区に生産拠点を構えるプリント基板(PCB)メーカーでは、春節休暇後の従業員流出率は10%未満にとどまっている。依然最高で20%の人手不足となっているものの、今後の人材募集や台湾での生産により出荷への影響は小さい見通しだ。ただ川下顧客の不足は比較的深刻で、PCBメーカーに対し「1カ月の人材借用」を求めようという動きもあるようだ。

 今回の労働力不足について工商時報は、内陸部の発展に伴って沿海地区と賃金格差が縮小しており、内陸出身者のUターン就職など職場の選択肢が増えてきたことも一因となっていると指摘した。
 
【表】