民主進歩党(民進党)の総統候補、謝長廷氏(61)は15日夕方、外遊から帰台して桃園国際空港で開いた記者会見で、副総統候補に蘇貞昌前行政院長(60)を正式に指名したと発表した。中国国民党(国民党)の総統候補馬英九氏(57)は早々と副総統候補に蕭万長元行政院長(68)を指名しており、来年3月の総統選挙に出馬する二大政党の正副総統候補がようやく出そろった。
謝氏は同日をあらかじめ副総統候補指名の最終期限としていた。蘇氏を選んだことについて、「党内で競争があり、(相手を)傷つけたケースもあったが、協力できない相手はいないと信じている。摩擦と不愉快を乗り切った後は、協力こそ重要だ」と党内団結を訴えた。
謝氏は14日夜に蘇氏と連絡を取り、副総統候補として出馬を正式要請。蘇氏は「社会の期待に応え、副総統の職を務め、歴史の重責を担いたい」と快諾したという。
桃園空港には民進党の立法委員20人をはじめとする大勢の支持者が出迎え、「謝長廷当選!」を連呼した。最初の大型支援集会は9月1日に予定されている
(15日=中央社)
蘇氏は台北県長、屏東県長など地方首長の経験が長く、庶民受けするキャラクターが強みで、集票力には定評がある。トレードマークのはげ頭から「電火球(テンホエキュウ=電球)」というニックネームで呼ばれる。
ただ、蘇氏は謝氏と最後まで総統候補の座を争い、5月の党内選挙で敗れた経緯があるため、両者のしこりを懸念する声もある。2人はかつて「福利国連線」という同じ派閥に属していたが、それぞれを支持するグループに分裂。少数派の蘇派は新潮流系に事実上鞍替えし、総統候補選びは派閥抗争の縮図となった。
副総統候補をめぐっては、客家で女性の葉菊蘭元行政院副院長を推す声も根強く、党内調整に手間取った。しかし、民進党で実施した有権者へのアンケート調査の結果などから、最終的には蘇貞昌氏を選んだ方がより有利と判断され、葉氏は脱落した。陳水扁総統も、自身に近い蘇氏を積極的に推した。なお、謝氏は16日、桃園県中レキ市(レキは土へんに歴)で開かれた支援集会で、葉氏を競選総部総幹事(選挙対策本部長)への就任を要請したことを明らかにし、自身と蘇氏、葉氏の3人で「ゴールデントライアングル」を組むと宣言した。
一方、民進党中央常務委員会は15日、立法院議員団の柯建銘総召集人の提案で、謝蘇ペアによる総統選出馬を支持することを決議した。また、謝氏陣営は、謝蘇ペアを示す中国語表現を台湾語の「ティチョン(前進中)」にちなんで、「長昌配」とすることを決めた。中国語の「蘇」の音が、負けるという意味の「輸」に近いため避ける意図もあるようだ。