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高雄甲仙地震、半導体・パネル需給に影響


ニュース 電子 作成日:2010年3月5日_記事番号:T00021318

高雄甲仙地震、半導体・パネル需給に影響

 
 4日発生した高雄県甲仙郷を震源とするマグニチュード(M)6.4の地震で、ハイテク業界には深刻な被害は出なかったものの、半導体の供給不足の強まりや液晶パネル価格の持ち直しなど、需給に一定の影響が生じる見通しだ。震度5を観測した南部科学工業園区(南科)の台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)は操業に影響が出る日数を1~1.5日、奇美電子(CMO)は約2日と見積もっている。5日付経済日報などが報じた。
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 陳俊偉・南科管理局長は、今回の地震は南科にとって、震度4だった台湾中部大地震(1999年)を上回る、設立以来最も強いものだったと指摘した。一方で、水、電気などのライフラインや、工場や公共施設などインフラの被害報告は入っていないと表明した。

ハイテク大手3社、損失10億元

 南科を代表するハイテク大手3社、TSMC、UMC、奇美電は、地震で工場の稼働を一時的に止めたことで、合計損失額が10億台湾元(約28億円)前後に達するとみられている。

 南科に12インチ、8インチウエハー工場を擁するTSMCは、約1.5日の生産を失うものの、出荷に大きな影響は出ないと発表した。同じく南科を12インチの主要生産拠点とするUMCも、地震の影響は1~1.5日の出荷分と発表した。

 証券会社は、TSMCの12インチ工場は昨年第4四半期の生産能力が24万3,000枚だったことから、1日半で6億元の損失と見積もる。一方、UMCは月産能力3万5,000枚のため、売上高1億6,800万元を失うことになると計算した。

 設備業者は、TSMCでウエハー200~300枚、UMCは100枚弱が破損して不良品になったと予想、破損しなかったウエハーも化学的洗浄が必要なため、完全な復旧には3~5日かかるとの予測を示した。

 南科の工場が現在フル稼働状態の両社は、深刻な供給不足に陥っている第3世代(3G)携帯電話のベースバンドチップやグラフィックチップなどハイエンドチップを生産しているため、今回の被害を受けて第2四半期に電子製品の受託生産メーカーの出荷が7~10営業日遅れるとの懸念も出ている。

パネル価格、3月下旬も下落せず=IDC

 液晶パネル大手の奇美電は、4日午前にラインを止めたものの、順次復旧しており、今後の生産に影響は生じないと発表した。ガラス基板最大手のコーニングは、台南第5世代工場で微細な被害は出たものの、納期に影響することはないと表明した。

 一方で証券会社からは、奇美電の第5.5、第6世代工場はそれほどの問題はないが、7.5世代工場は生産能力の25%に影響が出て、損失額は3億~5億元に上るとの予測が示された。

 市場調査機関IDCは、従来液晶パネル価格は3月下旬に「横ばい」か「下向く」と予想していたが、地震による供給量減少が懸念されるため、「横ばい」または「小幅上昇」に予測を修正した。液晶パネル業界関係者はガラス基板の需給ひっ迫が強まるとみて、第2四半期の液晶パネルの供給見通しを、従来の「7%の供給過剰」から「5%以内」に変更。「災い転じて福となる」との見方だ。

【表】