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新奇美電、Q3に世界2位も


ニュース 電子 作成日:2010年3月15日_記事番号:T00021495

新奇美電、Q3に世界2位も

 
 18日の3社合併で世界3位に躍進する液晶パネルメーカー、新・奇美電子(チーメイ・イノルックス)の経営陣16人が決まった。執行長(CEO)兼総経理を担う段行建・群創光電(イノルックス・ディスプレイ)董事長をはじめ、合併する3社の計8人が現在の台湾最大手、友達光電(AUO)の前身・聯友光電出身で、協力を円滑に進めて合併効果を早期に生むことが期待される。第3四半期には韓国のLGディスプレイ(LGD)も追い抜き、世界2位に浮上する可能性が指摘されている。15日付経済日報が報じた。
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 新奇美電の幹部構成は、▽群創出身、8人▽奇美電子(CMO)出身、6人▽統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)出身、2人──で、董事長には廖錦祥・奇美電董事長が就任する。南部科学工業園区(南科)支社総経理には王志超・奇美電総経理が、環境長(CSR責任者)に群創の液晶パネル製造の責任者である許世忠副総経理が就くなど、かつて聯友光電で業務経験を持つメンバーが8人に上る。これにより、2001年にAUOが誕生した際の聯友光電と達碁科技の合併と比べてはるかに規模が大きく、合併作業時間も短い今回の統合をスムーズに進めたいところだ。

新工場設置の可能性も

 台湾パネル産業で歴史的な業界再編の課題に挑む段・群創董事長は、合併する3社の工場が過密気味のため、顧客の需要を考慮しつつ生産ラインの整備を検討しており、新拠点設置の可能性もあると語った。さらに、今年2月に掲げた目標、▽液晶モニター▽液晶テレビ▽ノートパソコン用液晶パネル▽携帯電話用液晶パネル▽タッチパネル▽カバーガラス▽電子ブックリーダー──の世界首位獲得に自信をみせ、今後数カ月以内に新たな目標を設定すると意欲を示した。

 一方で、奇美電の従業員は合併に伴い、大規模な人員整理や、中国メーカーによる引き抜きの対象となり、約2割の人材が流出するとの観測も出ており、痛みも伴うことは避けられないようだ。

アムトランからの受注、ターゲットか

 群創の親会社、鴻海科技集団(フォックスコン)は新奇美電の世界シェア拡大を全面的にバックアップする。業界筋によると、鴻海集団は、主に米首位ブランド「ビジオ」に供給する瑞軒科技(アムトラン・テクノロジー)への出資比率を4割まで引き上げる構えだ。モルガン・スタンレーの王安亜アナリストによると、新奇美電は、長期にわたりアムトランに液晶パネルを供給してきたLGDから800万枚の受注を奪えば、第3四半期に出荷枚数でLGDを追い抜ける。

 なお奇美電は傘下に、鴻海集団が展開を加速する設備分野など、数多くの液晶パネル関連事業を擁する。王アナリストは、新奇美電の今後の生産能力拡張に伴い、奇美電傘下の部品、設備メーカーなどサプライチェーンは、鴻海のリソースも生かして大きな商機が期待できると指摘した。

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