18日に台湾を横断した台風8号(セパット台風)によって、ブンタンの主要産地の花蓮県などで収穫前の実が多数木から落下するなど、農業に11億5,000万台湾元(約40億円、行政院農業委員会まとめ)の被害が出たが、内政部消防署の統計によると、死者・行方不明者は発生せず、全体として深刻な被害には至らなかった。
農業被害の約87%が農作物の被害。台湾では中秋節(今年は9月25日)にブンタンを食べる習慣があるが、台風8号で全土の生産量の3分の1を占める花蓮県と台東県で大きな被害が出たことにより、価格が例年に比べ3割、高級品で5割上昇すると予想されている。
人的被害は、死者・行方不明者はなく、台北市や高雄県などを中心に計27人の軽傷者が出た。
台風8号の降り始めからの雨量は、◆花蓮県天祥、983ミリ◆花蓮県布洛湾、952ミリ◆屏東県瑪家、903ミリ──など。
交通面では、宜蘭~花蓮間の蘇花公路が路肩が流失したため寸断。復旧には1週間かかる見通しだ。また、台中県和平郷や高雄県桃源郷などの、省道24カ所を含む計29カ所の道路が土石流や落石、地面の流失などにより寸断し、このうち26カ所で復旧作業が続けられている。
このほか、花蓮県を中心に61万1,800世帯が停電に見舞われた。
屏東県では浸水被害が深刻に。軍が出動して復旧作業に当たった(19日=中央社)