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作成日:2010年4月1日_記事番号:T00021843
「よく物忘れする」、語呂悪い身分証番号に変更許可

国民総背番号制の台湾では、誰もがアルファベット1文字と9けたの数字からなる身分証番号(身分証統一編号)を与えられている。アルファベットは戸籍地を表し、たとえば台北市はA、台北県はFなどと県市ごとに異なる。最初の数字は性別を表し、男性は1、女性は2。身分証番号は出生届を出すと自動的に付与され、同じ番号はふたつとない。基本的にはその個人が死ぬまで変わらず、使い続けるもののはずなのだが…。
李さん(33)は今年2月10日に女児が誕生し、初めて父親になった。さっそく彰化市の戸籍事務所に出生届を提出したところ、コンピューターが娘に割り振った身分証番号は「N226605438」。
この番号を見た李さんは眉をひそめた。というのも、台湾語で「2266」は「零零落落(よく物忘れする)」、「5438」は「我是三八(私はばか)」と発音が同じで、なんとも悪い語呂合わせになるからだ。
李さんは「こんな番号では、娘は将来きっとからかわれるに違いない」と心配。そこで、戸籍事務所に違う番号に変えて欲しいと要求したものの、現行の規定では「語呂合わせがよくない」という理由で身分証番号を変えることはできないため、拒否されてしまった。
実は、身分証番号を変えられるのは、末位の数字が「4」の場合か、前から3~8番目に位置する数字に連続して3つ以上の「4」がある場合以外だけ。「4」は「死」につながるとして忌み嫌われるため、このような配慮がなされているのだ。
とはいうものの、戸籍事務所もこの番号が子どもの将来に及ぼす影響を憂慮し、「特殊な事情」を持つケースとして内政部に変更許可を願い出た。幸いなことに、内政部も同情を示し、番号変更の許可が下りた。
李さんの娘は、晴れて新たな身分証番号を取得することに。新たな番号は偶然にも末位2桁が「88」と縁起のよい数字。災い転じて福となり、李さんは大喜びだ。
なお、内政部では2008年から身分証番号の9けたの数字に、「4」が2つ以上はいらないように配慮しているとか。李さんのケースはあくまでも特例で、語呂合わせを理由に身分証の番号を変えることはできないし、変更できるのは1回だけという規定は変わっていない。