韓正上海市長が6日、5月から始まる上海万博の宣伝を目的に3泊4日の日程で台湾訪問をスタートした。中国の直轄市市長の訪台は初めて。台北市と交流強化の覚書を交わしたほか、上海万博期間中の上海・交通銀行での台湾元と人民元の両替サービス実施などを発表した。また、随行した上海企業団と台湾企業による商談会が開催され、初日は約5,700万米ドルの調達契約が交わされた。7日付工商時報などが報じた。
中山女子高を見学する韓正上海市長(左)。郝龍斌台北市長(右)は上海万博開幕の際、台湾館の点灯イベント出席を予定している(6日=中央社)
韓市長は松山空港への到着後、台北市と上海市の都市フォーラムに参加。台北市との間で文化、観光、ハイテク工業団地、環境保護の4項目での交流強化の覚書を結んだ。
韓市長は松山空港と上海虹橋空港の直航計画について、「実現を前倒しできるよう努力している。(上海と台北は)2時間経済生活圏となる」と語り、両市直航による関係強化に期待を示した。松山・虹橋直航は馬英九総統が今年2月、「10月に実現する」と表明している。
郝龍斌台北市長は韓市長の訪問を、「今後の両市交流の礎石になる」と評価した上で、「上海は5月に万博を、台北は11月に国際花卉博覧会を開催する。両市が互いに観光を盛り上げたい」と語った。
台湾元両替、常態化目指す
韓市長は、交通銀行が万博開催期間中に台湾元と人民元の両替サービスを行うことも明らかにした。万博期間中の同サービスは中国銀行による実施が決まっており、交通銀は2行目となる。また、万博終了後に、台湾元両替をより多くの地場銀行で常時可能にすることを段階的に実現させていく考えも示した。さらに、上海浦東発展銀行の台湾事務所設立をできる限り早く推進することも表明した。
上海汽車、台湾電動自動車に関心
6日は上海汽車工業(集団)総公司や百聯集団、聯華超市など14社からなる上海経済貿易代表団と台湾企業の間で商談会が行われ、約5,700万米ドルの調達契約が結ばれた。
上海汽車は今回、台湾の電気自動車や電池技術の視察と提携パートナー探しを訪台の目的としており、裕隆汽車集団や必翔実業を訪問する。
また、上海航空の台湾支社設立など、上海市商務委員会が上海企業3社による台湾投資を認可したことを明らかにした。
このほか、統一企業(ユニプレジデント)や康師傅控股など台湾企業26社が上海企業と協力協定を結んだ。
抗議わずか6人
韓市長は午後に台北市立中山女子高級中学を見学し、生徒に上海万博のチケットを配ったほか、夜には台湾鉄路(台鉄)松山駅近くの饒河街観光夜市を見学した。7日は故宮博物院訪問や都市交通システム(MRT)淡水線の搭乗見学を予定している。
なお、中国時報によると、警察当局は独立派の抗議行動を警戒して韓市長が宿泊する台北晶華酒店(グランド・フォルモサ・リージェント・タイペイ)に警察官500人を配備したが、抗議に訪れたのはわずか6人だったという。