身長171センチ、体重115キロのぽっちゃりした体型に、マッシュルームヘア。一見、コメディアンかと思わせるこの青年、実は類まれな美声の持ち主で、昨年イギリスのオーディション番組で卓越した歌唱力を披露し、一躍世界的に有名になったスーザン・ボイル(49)にちなみ「台湾版スーザン・ボイル」として世界中で注目を集めている。
子どもの頃からの肥満体型だが、「健康でハッピーな『デブ』になる」と決めたという林さん(8日=中央社)
この青年は林育群さんで、年齢は24歳。桃園県の元智大学を昨年卒業し、現在楽器店でアルバイトとして働く身だ。彼が台湾版スーザンと呼ばれるようになったのは、やはりオーディション番組出演がきっかけ。3月26日、テレビ番組「超級星光大道」に登場した彼は、「アメイジング・グレイス(Amazing Grace)」を熱唱。スーザン同様、その外見からは想像もできない美声で審査員や観衆を魅了、満点の25点を獲得した。続く4月2日の放送ではホイットニー・ヒューストンの代表曲「I Will Always Love You」を歌い、24点の高得点をマーク。
その模様が動画配信サイトYouTubeにアップされ、9日時点でのアクセス数は210万ヒットを突破するほどの人気となり、海外メディアも大きく取り上げた。米CNNサイトは「まるで93年グラミー賞受賞式でのホイットニーを再現したかのようだ」と評し、米ヤフーは「完ペキ」と絶賛。
そんな林さんだが、これまでは「女みたいな声」「自分の体型を考えろ」などと、けなされることも多かったとか。最大の挫折は去年3月にオーディション番組「超級偶像」で失格となったことで、一時は歌をやめようとまで考えた。その後、参加した政治大学の歌唱コンテストで優勝を手にし、やっと自信を取り戻したという。
スーザン・ボイルについては、落ち込んでいたときにその歌う姿を目にし、感動で一晩中泣き明かしたそうで、「彼女は見込みがないと思われても、外見が平凡でも、舞台の上で輝くことができると証明した」と敬意を示す。
スーザンは歌手デビューを果たし、ファーストアルバム「夢やぶれて(I Dreamed A Dream)」は世界中で850万枚のヒットとなった。林さんにもスーザンのような夢のような将来が待っているのだろうか?