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アイスランド噴火、旅行業界に打撃


ニュース その他分野 作成日:2010年4月19日_記事番号:T00022200

アイスランド噴火、旅行業界に打撃

 
 アイスランドの火山噴火で欧州の空の便がまひ状態に陥り、ハイシーズンを控えた台湾旅行業界が悲鳴を上げている。ここ数日間の欧州行きツアーの取り消しで、経済的損失は約2億台湾元(約5億9,000万円)に達した。一方、ハイテク業界は、欧州市場を主力とするパソコンブランドの宏碁(エイサー)と華碩電脳(ASUS)が、出張者に影響はあるが製品の出荷は問題ないとコメントするなど、現段階で目立った影響は出ていない。19日付経済日報などが報じた。
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中華航空は、欠航で搭乗便を予約し直す場合、4月30日まで手数料を免除する(中央社)

 中華民国旅行業品質保障協会(品保協会)の陳属庄委員によると、海外旅行市場は例年4月から活発化し、毎週延べ2,000人以上が欧州行きツアーに参加、出発がピークの木~日曜は、1日当たり20団体、延べ500人が出境する。ただ欧州では18日は1万9,000便が欠航。英国やフランス、ドイツなど多くの国で運航規制が敷かれたままで、旅行会社はツアー申込者のキャンセルや出発延期の手続きに追われている。

 なお、17日現在で欧州に足止めされている台湾のツアー客は、交通部観光局、中華民国旅行商業同業公会全国聯合会(旅行業全聯会)、品保協会のまとめによると、54団体、1,455人に上り、旅行会社は帰台手配に奔走している。

海運、受注増の可能性も

 中華航空(チャイナエアライン)は18日、欧州の空港が閉鎖されたために現地に残された搭乗客を対象に、欧州便が復旧するまでの金銭の融資などを含む緊急支援策を実施すると決定した。

 一方、孫洪祥・総経理は、欧州旅客便は同社売上高の7%を占めるものの利益率が低く、同15%の貨物便は既に米国線などに切り替えており、業績への影響は大きくないと強調した。

 証券会社は、欧州の空路の混乱が2週間以上続けば、物流で海運や陸運への切り替えが起こり得るため、長栄海運(エバーグリーン・マリン)や陽明海運(ヤンミンライン)が恩恵を受ける可能性があると予測している。

半導体、中台でサプライチェーン完結

 空の便の混乱による出荷への影響は少ないと表明したASUSは、その理由として、空路と海路でコストに10倍以上の差があるため、特別なケースを除き海運を輸送手段の中心としていることを挙げた。

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、欧州に顧客はあるが、同社製品はパッケージング・テスティング(封止・検査)業者に納入しているため影響はないと説明、封止・検査大手の日月光半導体(ASE)と矽品精密工業(SPIL)は、完成したICチップは台湾や中国にある販売会社やブランドメーカーなど納入しているため、欧州の事態に影響を受けることはないと強調した。

 中華民国対外貿易発展協会(外貿協会、TAITRA)は、現在、欧州から買い付けに訪台したバイヤーが自国に戻れない状況になっていると指摘。なお、6月1日から開催の台北国際電脳展(台北国際コンピューター見本市、コンピューテックス)への影響は、現段階では予測不能としている。