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アジア市場好調、3月輸出受注が過去最高に


ニュース その他分野 作成日:2010年4月21日_記事番号:T00022258

アジア市場好調、3月輸出受注が過去最高に

 
 経済部統計処が20日発表した3月の輸出受注額は、前月比25.45%増、前年同月比43.66%増の343億9,000万米ドルで、世界金融危機前の水準を回復したのみならず、単月の過去最高も更新した。輸出先別では中国、日本、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国向けがいずれも過去最高を記録、アジア市場の需要の高まりを反映した。統計処は3月の受注増について、特にノートパソコン、携帯電話などの需要好調により、情報・通信製品の受注額が前年比4割以上増加したことが最大の要因と分析した。21日付工商時報などが報じた。
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 各国・地域別の3月輸出受注額は、▽中国・香港、98億1,000万米ドル(前年同月比59.67%増)▽米国、66億3,400万米ドル(同18.21%増)▽欧州、59億6,200万米ドル(同32.37%増)▽日本、39億9,300万米ドル(同93.55%増)▽ASEAN6カ国、32億3,700万米ドル(同61.77%増)──となった。

 日本向けが2倍近くの成長を見せたことについて黄吉実・経済部統計長は「多くの台湾メーカーのIT機器が日本市場で発売され、売れ行きも好調なことが主な理由」と説明した。また、一部製品は中国で加工して欧米へと輸出されるため、中国向け受注の伸びは欧米での需要回復も表すと指摘した。

 製品別では、▽電子製品、82億7,400万米ドル(前年同月比39.13%増)▽情報・通信製品、81億9,200万米ドル(同40.25%増)▽精密機器など、32億4,400万米ドル(同87.84%増)──と同3項目がともに過去最高の受注額を記録した。

 なお第1四半期累計の輸出受注額は921億7,000万米ドルで、前年同期比では49.31%の大幅成長となったが、昨年第4四半期比では2.72%の小幅減となった。

 黄統計長は、▽世界経済の順調な回復▽5月の中国・労働節(メーデー)連休▽中国農村部への家電普及に補助金を支給する「家電下郷」政策の第2弾が今月から始まること──などの要因により、上半期の輸出受注は楽観できると語った。

 一方、最近のアイスランドの火山噴火による影響については、受注や輸出への影響は限られるが、企業が海外で十分な在庫を確保していなければ、一時的に欠品に見舞われる事態も考えられると指摘した。
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海外生産比率、5割突破

 輸出受注が好調な反面、懸念も持ち上がっている。経済部は同日、3月の受注に対する海外生産比率が50.69%となり、初めて5割を突破したと発表した。特に情報・通信製品が86.94%、電子製品が50.36%と高い比率になっている。経済部関係者は「台湾の就業人口、さらに個人消費にも深刻な影響を及ぼしかねない」と警告している。

 経済部によると、これまでは台湾で川上の原材料や中間材料を生産し、海外で川下製品を生産するという分業体制がとられてきたが、海外に進出した台湾メーカーが、川上・川中のサプライチェーンを海外に移植していることが海外生産比率の上昇を促しているという。

 黄統計長はまた、「鴻海科技集団(フォックスコン)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)など大手ITメーカーが、海外で急激な生産能力拡大を行っていることが3月の海外生産比を引き上げた」と説明したが、同比率の5割突破が好ましいことであるのか、不健全なことであるかについてはコメントを避けた。

【図】